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花シリーズ

魂の花が集う場所

作者: リィズ・ブランディシュカ



 足を向けたそこは、とてもきれいな場所だった。


 噂通りの光景が広がっている。


 ここなら、もしかしたら、死んでしまった彼女と話ができるんじゃないだろうか。


 そう思っていたら、声をかけられた。


 その人物は俺が向かおうと思っていた崖の先端へと歩いて行く。






 魂の花が集う場所


 死んだ人の魂が、花になって集う。


 そんな言い伝えがある場所が、ここだ。


 その場所は、海がすぐそばにある、断崖絶壁の上。


 景色の綺麗な所だ。


 何十年か、何百年か前。噂によると、そのあたりに一人の女性が住んでいたらしい。


 その女性は、死者の魂を体に宿すことのできる人間で、生者の未練を解消したり、死者の言葉を届けたりしていた。


 けれど、ある時その女性に不幸な出来事があったらしい。


 女性は衝動的にその崖の上から身を投げた。


 それ以降、その場所は花が咲き乱れるようになった。


 その花の上で、幽霊のようなものを見たって話が、その後、ちらほらと出てくる。


 だから、魂の集う場所といわれているんだ。







 話を聞いた後、俺は「ならここで死んだ俺の彼女に会えますかね」と訪ねてみた。


 答えられるとは思っていない。


 すると、その人物は足元に咲く花を見回して、「いいや、それは無理なようだ」と言った。


「彼女は会う事を望んでいないようだから」


 どうしてそんな事が分かるんですか。


 そう聞く間もなく、あたりの景色が変わっていく。


 花が消え去って、殺風景ながけだけが残った。


 風が吹きすさび、身震いすると、足元の地面がわずかに崩れて、小石がはるか下の海に消えていった。


 そこは、崖の先端だった。


 あと一歩、先へ歩いていたら、死んでしまっていただろう。


 俺の目の前で話していた人間は、いつの間にかいなくなっていた。



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