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「穂香さん、ごめんなさい!」

店に戻るなり瑠璃が勢いよく謝ってきた。床に着きそうなほど頭を下げて...

「瑠璃ちゃん、怒ってないから頭を上げて」

すると瑠璃は大きな瞳に涙をいっぱい溜めてこちらを見つめる。

「怒ってないけど本当にびっくりしたわ。どういうことか、なにが起こったのか、ちゃんと説明してくれる?」

「はい、あの、座ってお話しませんか」

「そうね。とりあえず落ち着くようにホットココアでも作るわ」

「ありがとうございます」


瑠璃はホットココアを一口飲み、ゆっくり話し始めた。

「青王様がおっしゃった通り、わたしは座敷童子という妖です」

「座敷童子って、それが住み憑いている家やお店は繁栄するって言われる妖怪よね」

でも私には霊感とかそういうのはないし、怪奇現象みたいなものにも遭遇したことがない。霊とか妖怪とか信じてはいないけれど。

「そう言われていますね。でもわたしはずっと王城で青王様のお手伝いをしてきました」

「そう。それじゃあどうして私の店で働きたいって言ってきたの?」

「青王様が東京の自由が丘という場所を見て歩き、京陽に戻ってきてすぐわたしに穂香さんのそばに行くよう言いつけたんです。穂香さんが楽しく過ごせているか、辛い思いをしていないか見守り、何かあったらすぐ教えてほしいと」

自由が丘は私が以前勤めていた場所だ。

「青王様がそう言った理由はわかる?」

「それは、あの...青王様に聞いていただけませんか?」

「知ってるけど話せない、って感じね」

「すみません...」

「聞きたいことはほかにもまだたくさんあるけれど今日はもう休みましょう。明日は焼き菓子の試作をして、そのあと青王様に話を聞きに行くわ」

「わかりました。今日は本当にすみませんでした」

瑠璃はもう一度深く頭を下げ帰って行った。


青王様は、私が勤めていた店でオーナーに怒鳴られたり無茶ぶりされているところを見ていたのかしら。

見守るなんて、まるで私が辛い思いをしていることを知っていたみたいじゃない。

でもどうして私のことを?

職場で辛い思いをしている人なんて、ほかにもたくさんいると思うけど...


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