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シャドウダンス4空飛ぶ怪異  作者: 六青ゆーせー
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89スカイツリー

二人の学生は、神社を出るとスカイツリー方面に進んだ。


二人は自転車に乗ったが、ユリは虫を飛ばし、ランニングで追いかけた。


徐々に街は賑やかになってきて、スカイツリーも間近に見えるようになる。


二匹の虫は、すかさず少年の背中に張り付き、ユリに位置を教えた。


二人は別行動をとっている様子だ。

一人は水族館に入り、もう一人はスカイツリーに登った。


何かをたくらんでいる…。


薬を持ち、別行動に出たのが、ユリにはストリートチルドレンの財布のスリ方を思い起こさせた。


無論、ユリにも、仲間たちにも、スリのテクニックも、どうやるのか、というノウハウも持ってはいない。


ただ、スレそうにポケットの膨らんだ相手を見つけたら、通りを逆方向に走るのだ。


獲物を、前後から挟むように走っていくと、前から来た相方は獲物にぶつかっていく。


無論、相手もバカではない。


それぐらいは交わす。


交わすところに、後ろからもう一人がタックルする。

その隙に、もう一人がポケットの中に手を入れるのだ。


だが、スカイツリーと水族館に、どういう意図があるのだろう?


ユリは、かなり先行した相手を追って、足を早めた。


スカイツリーと水族館に同時に行くのは無理だ。


バタフライと良治は別件で出ていた。


ユリは誠に電話をかけた。





小田切誠は医務室のベッドの上でユリからの電話を受けた。


本当は、まだ泣き声かもしれないので電話は困るのだが、ユリが電話をしてくるのは珍しい。


「どうしたのユリ?」


言葉少なに問うと。


「学生連合の薬をもった男子学生がスカイツリーに向かってるんだ!

一人はスカイツリーに登って、一人は水族館に向かった。

僕一人じゃ追いきれない」


ハッキリ言って、川上の蹴りをまともに受けた直後の誠は、あまり動きたくなかった。


と、言うか痛くてまだ動けない。


が…。


「誠っち!

俺が行くぜ!」


確かに、川上はここに来て急激に強くなっていた。


「ユリ?

川上君が向かうって。

大門から浅草線に乗れば押上駅まで1本だから」


「うん、判った。

じゃあ、僕はスカイツリーに行くから、水族館に向かって」


ユリが電話を切るのと、川上が走り出すのは同時だった。





誠はベッドの上で、何故スカイツリーなのか考えていた。


学生連合の薬は、影能力を使ったものに力を与える。


宝石泥棒をしていた者もいたし、格闘チャンピオンと戦った奴もいた。


願望次第、やりたいことが出来るようだが、スカイツリーの展望台は、出入り口はエレベーター1本の、ある意味密室だ。


無論、建築基準法に乗っ取り、非常口ぐらいはあるのだろうが、途方もない高さなので階段を使う人は、あまりいないはずだ。


水族館は、併設されたソラマチと呼ばれるビルにあるはずで、性質上、展示場と、裏の水槽の二重構造になっている、と考えられた。


何か一つの犯罪目的、と考えるのはさすがに無理がありそうだが、地下には興味がある誠も、塔には全く興味が湧かないので、あまり詳しくは分からない。


「小田切。

これ、二人で出来るテロじゃないべ」


「え、小百合さんはテロだと思うの?」


「もう、こそ泥とかしている場合じゃないべ。

おそらくスカイツリーで大量殺戮ぐらいの事は考えるはず!」


確かに、この前はあちこちで少数の学生連合が暴れたため、なんとか誠たちで押さえられた。


だが大量の死者が出たのは事実で、完璧に止められたわけではない。

しかし、もし仮に敵がスカイツリーに兵力を集中したとなったら、誠たちだけで止められるかは心もとない。


「とにかく、ユリがうまく、初動を発見したんです。

竜吉君に言って、こちらも迅速に対応しましょう」


小百合も部屋を出た。


誠は本部に連絡したのだが、あいにく、龍吉はピッピと共にデートで留守のようだった。






永井友哉のアプリが震えた。


学生連合の緊急集合のイベントだ。


普通は学生が休みの時にやるのだが、アプリを見ると、どうしても今日、スカイツリーに集合しなければいけないらしい。


(集まってくれた仲間には、もれなく十万ポイントをプレゼント…)


十万ポイント!


つまり十万円相当のポイントが、スカイツリーに行くだけでもらえるのだ。


病気の早退なら、内申にもそれほど響かないだろう…。


永井友哉は、体調が悪いため早退したい、と教師に話した。






さーて、どのくらい、洗い出せるかな?


白井は、アプリを見ながら考えていた。


永井友哉のように、そこそこ薬が回っているはずなのに、反応しない子供がいる。


年齢が高くなるほど、また体重が重くなるほど、そんな兆候が現れるのだが、まずはこの辺を首尾よく兵隊にしたい、とタイカンは考えた。


だからゲリラ的に、とある一ヶ所にその手の連中を集めて、擬似的にシーツァの力を流すのだ。


本当に花が咲いたわけではないので範囲は狭いが、スカイツリーとソラマチぐらいの範囲なら、ちょうど理想的と言えた。


こーいうイベントが成功したら、同じようにドームシティと東京ドームとか、幕張メッセとか、その規模で同じことは可能だ。


おそらく、内調は後手を踏むはずだし、すぐに三百ぐらいの兵隊は集まるはずだった。

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