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シャドウダンス4空飛ぶ怪異  作者: 六青ゆーせー
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潜入作戦と義郎の力

「近接戦用のオーラか?

外科手術でなんとでもなるが?」


「いや、そうゆうのではなく…」


今でも、カブトの脳を見てしまったショックは忘れられない。

あんなのはごめんだった。


「もっと最短で、効率よく使える方法が知りたいんだ」


と、アホな中ニのようなことを言っている誠だが、意外にもリーキーは、


「メソットはあるにはあるよ。

僕の研究によれば、オーラは、実は筋肉量に比例するわけではない」


「え、そうなの!」


誠の胸は期待に高鳴る。


「赤ん坊は、生まれながらに影が使えた場合、とても硬いオーラを持っているんだ。

本能の硬さ、と僕は言っている」


ほう、と誠は息を飲む。


「普通の人間でも、虐められっ子とか、あまり大きな怪我をしなかったりするだろ。

例えば、攻められる、怖い、と体を萎縮させるだけでもオーラは厚くなったりする。

君の場合、透過すればいい、と思っている分、オーラが出ないんだと思う。

一度、透過をやめてみると良いよ」


期待は急速に萎んだ。


誠は、痛いのは大嫌いだった。

この歳で、歯磨きに何分も時間をかけるほど、痛いのは嫌いだ。

誠は、毎日デンタルフロスを使い、毎月、歯医者に定期検査に通っていた。

虫歯は、誠にとって悪夢なのだ。




永井友哉から、また薬の要請があった。


あいつも訳の判らない奴だ。

充分な薬を飲んでいるはずなのに、亜人にならない。

いや、おそらく体の一部は既に亜人でなければおかしいが、それに当人が気がつかないので、そこで踏みとどまっている、というところだろうか?


あと意外に大柄で、しかも小太りの永井は、薬への耐性が他より高いのかも知れない。


いずれにせよ、量を飲ませれば、いずれ亜人になるのは間違いないので、白井は薬を取りにマンションへテレポートした。




「ふーん、見ろよ、あのマンション、窓が少し開いているぜ」


ハイエースが、ツカサのマンションの窓側を見られる公園に停まっていた。


アイチが、双眼鏡でツカサの部屋を調べているのだ。


「おそらく換気のため、少し開けて、ロックがかかる鍵を付けてるんだろう」


渡辺は近隣を探っており、Bluetoothで会話していた。


特に避難口の鍵が開いている、ということはない。

確かにオートロックとはいえ、この手の鍵は単純で、セロテープ一枚も貼れば、自在に出入りできてしまう。

多くは、センサーや防犯カメラまで備えてないし、あってもそんなところの出入りには気が回っていない。


通報は、あくまで管理人の役目であることが多いので、常に目を光らす、等は現実には不可能なのだ。


忍び込むのは難しくは無い。


ヌーヌーは、鍵を開ける、等範囲の小さいことも可能だからだ。


ツカサの部屋は三階だが、夜間なら短時間で忍べるだろう。


ロックはヌーヌーで開けられる。


非常カメラは影繰りを映さない。


「今夜やるか?」


渡辺の問いにアイチは。


「そーだな」


ボソリと答えた。





勇気たち五人は、高屋や青山などから格闘の基礎を習っている。


一番の課題は、変身しないで影を使う事だ。


最悪、肉弾戦なら変身ヒーローでも巨大ロボットでも良いのだが、日常、即座に影繰りとバレるのはよろしくない。


色々テストの結果、勇気はパワーやスピードを強化出来るのが判り、樹冷涼は小型コンパスを物質化し、操れた。


愛理は治癒の力を持ち、レイナは小さなネズミを出して、偵察にも使えた。


問題は義郎だった。


影は出ているらしいのだが、目に見える力ではないらしく、さまざまな吉岡の検査でもどういう力か判断が出来ない。


多少力は強くなるようだが、動きはむしろ鈍くなっている。


「なんや、けったいな力やね。

でも、マコちゃんの力も他にあんまり出来る人の無い力やから、なんか強いかも知らんよ」


高屋は励ますが、他の四人はぐんぐん自分の力を伸ばしているので、義郎は、俯きがちだった。


元々、体は大きいが気は小さいところのあるデリケートな義郎である。


「あー、なんか俺も、こっち来いって言われたけど?」


井口が応援に小学生チームに加わった。


「ふーん、なんか力は出てるけど、なんだか判らない?」


そこに、青い顔をした誠が通りかかった。


透過をしないで格闘訓練をすべきだ、と颯太たちに言われ、思い悩んでいたのだ。


「あ、誠!」


「え、僕にそんなことは…」


話を聞いて、断ろうとした誠だが。


「試しにカラスを出して、力を使ってもらったらなにか判らないですか?」


「おお、そうだな」


とカラスを井口が出した。


「義郎君。

あのカラスを、君の力で捕まえて」


と誠はささやく。


ん、と義郎が力を使うと…。


「あれ、カラスが遅くなったな…」


おお、とみんなが義郎に注目する。


「早く出来るか?」


勇気のリクエストに、


カラスは弾丸のように飛び出した。


「早くしたり遅くする力って、聞いたこと無いな」


高屋も驚く。


「おそらく巨大ロボットの駆動力、って感じじゃないですか」


誠は語ってから、これからの自分の事を思い、また青ざめた。


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