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シャドウダンス4空飛ぶ怪異  作者: 六青ゆーせー
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影繰りの集団

前の三人に足止めされれば、奥の七人、その奥の二人の餌食になるだろう。


「誠、影の体を全部出せよ」


颯太が囁く。

人数的には敵より多い。

ただし、影の体は影能力が使えるわけでは無いが…。


影が使えるのは、真子と大工だった大家だけだ。


(どんな影繰りだか判らない?)


誠はミホに聞いてみたが、そこまでは不明のようだ。


12人の敵の正面にいたトランプの男が、不意に一枚のトランプを投げた。


投げた、というより撃った、というに相応しい速度だ。


以前の誠では避けられなかったかもしれないが、今の誠は18人の魂にサポートされていた。


首を傾けるだけで、カードを避ける。


(誠、回転して後ろから襲ってくるぞ)


颯太は言うが、誠は、


「大丈夫。

影に飲み込んで、土の中に落とす…」


今まで、誠の透過と影の手は別の能力だったが、日影さんの動きを真似、影の中に自分の体を入れてから、

誠の影には、もう一つ、何かを飲み込み、影により繫がった別の場所に動かす、という力が生まれていた。


トランプの男は、自分のトランプが消えると、微かに眉を動かしたが、所詮は12体1、と言うことか薄く笑った。


その笑顔が消えないうちに右側の両手をポケットに入れた男が、素早く誠に接近すると、スピードを乗せたままキックを放った。


誠は片手でガードするが、男はもう背後に下がっている。


だが、蹴りのパワーだけは腕のガードをすり抜けて、誠の側頭部に突き刺さった。


誠はしかし、ミホが、


(力だけを飛ばす技のようです)


と知らせてくれていたので、透過で難を逃れた。


だが、皮手袋の三人目は、既に動いていた。


(誠! 足だ!)


裕次の声がしたのと同時に、誠は足を掴まれた。


皮手袋の手が、誠の足を掴んでいた。


五メートル離れた地点で、皮手袋の男は素早く手を動かしている。

誠の体中に、皮手袋が現れ、誠を掴んでいた。


トランプの男と手をズボンに入れた男は、即座に誠へ攻撃を始めた。


(おい、誠、透過しろよ!)


颯太は言うが、誠は唸る。


「動けない…」


革の手には、ユリの虫に似た力があるらしい。


(しゃーねーな!)


影の手が無数に表れ、敵の攻撃を防いでいく。


だが、これは本質的な解決はしていない。

掴まれた無数の手から、誠は逃れられていないからだ。


まだ、後ろの男たちは静観している様子だ。

大抵は前の三人で勝てるからだろう。


「仕方ないな…」


誠は己の影の中に入り、革手袋の男の側面に出た。


影の手を使い、革手袋の男の心臓から脳に向かう血管を指で塞いだ。


一瞬で革手袋の男は昏倒し、影が消える。


颯太と裕次が飛び出し、トランプ男と手をズボンのポケットに入れた男を瞬殺する。


後ろに三列。

四、三、ニ人と並んだ男たちは、不意に瞬間移動して、無敵と思われた三人を一瞬で倒した誠に愕然とした。


四人の一番端の、小柄な男は、誠より5センチほど背が高いぐらいで、体もスリムだった。


周りが驚愕して動きを止めるなか、男は滑るように前進し、誠に連続パンチを打ち込む。


ボクシング系のパンチだったが、それだけでは総合ともムエタイとも、本格的なボクシング選手とも判らない。


誠は最小限の動きでパンチを避けながら、相手の影能力を推察しようとするが、男は鋭いパンチを連打するだけだ。


パンチを受けたときに発動するような能力なのかも知れないが、それなら、何故二列目にいたのだろう?


誠は、タイミングを見計らってカウンターパンチを撃ち込んだ。


瞬間、男の目が輝いた。


反撃されたときに、多分発動する影だ!


誠は直感した。


が、既にパンチは始動している。

今から止めることなど不可能だった。


と…。


偽警官がボクシング男に殴りかかった。


偽警官は…。


パン!


と爆発する。


「あ、警官さん!」


どうも誠を守ったらしい。


一瞬、驚いた誠だが、破裂したのは影の体で、幽霊である偽警官は無傷だった。


「危ないぞ、注意しろよ」


助かったが、偽警官の身を呈しての保護は、どこか生暖かかった。


偽警官が爆発した直後、誠のパンチがボクシング男の顎をとらえると、ボクシング男はあっけなく倒れた。


と、奥のメガネの男は、倒れたボクシング男になにかを注入するような仕草をした。


ヒーリング担当だろうか?


その二人の前に、中段の残り二人が飛び出してきた。


一人の能力はすぐに判った。


独特の唸るような羽音と共に、影のスズメバチが大量に現れたからだ。


毒を持っているのかは判らないが、かなりの脅威だ。

誠はともかく、虫は全般、大嫌いな上、蜂など悪夢でしかない。


もう一人の男は、ヒーリングしている男の前に立ったが、特に何をするでもなかった。


が、同時に動いたこと、前列の三人がコンビプレーだったことを考えると、蜂の攻撃をサポートするか、逆にサポートされるか、だろう事は誠も判った。

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