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シャドウダンス4空飛ぶ怪異  作者: 六青ゆーせー
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63つながる

「お前、死んでなかったか?」


ジオラマ少年の横に立っていた背の高い少年は、確かアメリカンアニメのムカデのような非写実的な姿となり、ユリコに頭を叩き割られたはずだった。


「蘇った。

そして、前よりずっと、強いぜ」


ニタリ、と背の高い少年は笑った。


「あ、僕はA7Vを修理したいから、君らは先に戦っていいよ」


ジオラマ少年はマリオンの床に胡座をかき、背中のバックから工具箱を出して夢中で作業を既に始めていた。


ユリコは、親父が油にまみれて自分のトラックを弄っている中で育ったので、この手の男子は嫌いになれなかった。


ちょっとチラノを壊しすぎたかな、とすら思う。


だがムカデは別だった。


千葉では、たいしたムカデは出ないのだが、父のトラックに乗って南方に行ったとき、蛇のようなムカデを見ていらい、虫酸が走る。


「てっめい、二度殺されたいかよ…」


まさにムカデを見る目で少年を、ユリコは睨み付けた。




その頃、白井はツカサに戻り、撮影所でドラマを撮っていた。

渡辺たちが白井の秘密を発見する数時間前だ。


主演なので出番は多いのだが、特にセット撮影と言うのは一場面ごとに照明が変わったり、壁を外してカメラを入れたりするので、空き時間は多く、楽屋に戻っていた。


「おい。

今、影繰りに仲間を殺されるのは不味い。

森に集めろ」


タイカンから指令が入った。


「ん、判った…」


冷えた弁当を噛みながら答え、ツカサは大学生の顔でマリオンに現れた。


「あー、悪いね。

この子達は、もう帰る時間なんだよ」


「はぁ(怒)」


と激怒しているユリコの前で、田部の顔をした白井は消えた。


そして頭を吹き飛ばされたトカゲ少年とズタズタのトンボ少年を連れると、


シーツァの森、伊豆の山奥にある秘境にテレポートした。


ペナンガランの守る森であり、シーツァの木は、よく見ると人の顔をしている。


「あー、少し電気が欲しいんだけどな…」


ジオラマ少年が言うと、木に生ったペナンガランが、ぼんやりと発光した。





元カッパの田中レンは、バイクの奴らに復讐しようと探したが、相手はバイク、何度か見かけたが、一瞬で走り去ってしまった。


と中学生の少女が、


「おい。

一旦引くぞ」


すぐに、仲間と気がついた。

田中レンは少女と共に、テレポートした。





五反田に自衛隊が勇ましく到着する頃、猫はパンツ丸出しで路上に倒れており、芋之助は上半身裸で、汗をぬぐっていた。


ハマユは、そんな二人に注意をしていたが。


「あー、怪物たち?

なんか、さっき女の子が現れて、連れ去って行ったよ…」


猫は、ハマユに、


「これ、見せてパンだからいいんスよう!」


と反論しながら、自衛隊に教えた。




カブトは、荒く息を切らして座り込んでいた。


川上もウサギを出し、カブトの援軍をして疲れはてていたし、井口も巨大トンビで支援して疲弊していた。


「ええ。

急にパワーアップして、それからは、何度か死なずに済んだ、ぐらいにやられました。

あ、敵ですか。

なんだか女性的な男が現れて、連れて消えました。

いや、言葉通りの意味ですよ。

煙のようになって、風に運ばれるように消えました」


青山は永田に報告していた。






誠たちは、青山の電話を受け、光ケ丘へ向かった。


別に八王子の自宅から、高屋も車で光ケ丘に向かっている。

なんと言っても、小学生だけで戦っているのだ。

迅速なサポートが必要だった。


「おら、ガキども、遅れんじゃないよ!」


迅速なサポートの一貫で、アクトレスが限定解除のバイクを唸らせて一足先に光ケ丘に来ていたが、アクトレスに子供の相手はなかなか難しい。


…近寄りたくない…。


五人はそう思っているのを、全身から発散させていた。


「あのぉ…、僕たち、遅いのなら、ロボットになりましょうか…?」


樹怜悧は気をきかせて提案したが、


「こんなミジンコみたいな連中に、ロボットに何の意味があんだよ!

変な事、考えてる間に一匹でも倒せ!」


怒鳴られて、樹怜悧は首をすぼめる。


愛理が怪物に殴られ、レイナが助けに入ったが。


「こんなのに二人がかりかよ!」


アクトレスは、思うように動かない子供たちに癇癪を起こしていた。


そこに、


「スピードなら、ピッピにお任せ!」


なんと竜吉を基地に運んだ足で、走ってきたピッピが、義郎が苦戦していた真っ黒い猿の化け物を蹴倒した。


「おー、ピッピか。

数を減らしてくれるかい!」


少し気が楽になったアクトレスは、ギアを上げて猿たちに向かう。


「お待たせしました!」


誠が、美鳥を運んで到達した。


と、数十の獣が、一ヵ所に集まった。


「やれやれ、私の子供たちを、これ以上はやらせないわ」


誠は声を失う。


立っていた少女は、間違いなく誠の記憶の中の真子の姿だった。


「…顔泥棒…」


顔泥棒と怪物が一つに繋がった。


真子の姿の白井は、ち、知り合いがいたか…、と思ったが、


「さ、みんな、行くよ…」


怪物と共に煙になって消えていった。





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