表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
82/203

魔鉱石と妖精 3


 エルディスは、私の手を引いてどんどん進んでいく。その後ろに、反対側の手を繋いだ騎士団長様が続く。


 少しだけ警戒した様子で、騎士団長様はキョロキョロと周囲を見ている。

 けれど、妖精たちは私たちから少し離れて飛び回るばかりで、それ以上近づく様子はない。


 エルディスは、私と違って妖精と話をすることができる。おそらく、言い聞かせてくれたのだろう。


「……あの、エルディス、目的地って?」

「妖精たちが、大切に守っているところ」


 もう一度強く手を引かれれば、次の瞬間、フワリと足下が柔らかくなった気がして、足下が雲に覆われていた。


 妖精たちが、認めた人間しか入ることができない場所。つまりこの先にあるのは……。


「ここにも魔鉱石があるの?」

「そう、それも巨大な。ああ、でもその場所に行く前に、少し寄り道をしないとね」


 寄り道と言いながらも、エルディスの表情はとても真剣だ。


「オーナー……」


 そう呟くと、エルディスと繋いだ左手にも、騎士団長様と繋いだ右手にも、ギュッと力が加わったのがわかる。


 雲が晴れていく、その隙間に見えるのは、可愛らしく、時に美しい夢のような空間だ。


「カフェフローラ……」

「……厳密に言えば、カフェフローラの元になった場所の景色だろう。時間と空間が歪んでしまっているんだ。その証拠に」


 エルディスの焦げ茶色の髪から生えるのは、白いウサギの耳。

 燕尾服は、淡い紫色の瞳も相まって、おとぎ話の世界から抜け出してきたみたいだ。


「……カフェフローラで、一緒に働こう?」

「え? 嫌だよ……」


 こんな可愛いウサギ耳のスタッフがいたなら、ますますカフェフローラは人気になるに違いない。

 そんなことを思いながら、触れた頭には、予想通りいつか着けていたクマ耳のカチューシャがついている。


「まさか……」


 振り返るのが少し怖い。でも、ものすごく見たい。


「……あの、見ても良いものでしょうか?」

「うん? どんな姿かわからないから、なんとも言えないな。しかし、あの時の服装か? リティリア嬢は何を着ても似合うが……」


 そう、チラリと見えるスカートの布地や、触ったときの頭の上のクマ耳の感触からいって、今の私は騎士団長様にクマのぬいぐるみをもらった、あの日と同じなのだろう。


 勢いをつけて、クルリと後ろを振り向く。


「と、トラ!?」


 目の前には、トラ耳を着けた騎士団長様がいた。騎士服はそのままに、トラ耳を着けた騎士団長様は、可愛らしく、かつ格好良い。


「もしかして、尻尾もあるのですか?」

「これか……。ん? 不思議なことに触った感じがわかるな」


 前回は、騎士団長様と私の姿を子どもにしてしまったオーナーの魔法。今回のこれもオーナーの時空魔法がもたらす影響なのだろうか。


「さ、姉さん。とにかく行くよ」

「まあ、行ってみなければ何もわかるまい」

「え、ええ」


 こうして、シリアスな展開にもかかわらず、少々可愛らしくなってしまった私たちは、妖精が創り出す雲の隙間を抜けたのだった。



最後まで、お付き合いいただきありがとうございます。下の☆を押しての評価やブクマいただけるとうれしいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
次にくるライトノベル大賞2025ノミネートありがとうございました!
gyhodqmaeo7sgiji10v760g13abp_kq4_xc_p0_agh1.jpg;
― 新着の感想 ―
[良い点] 振り返ると!トラ耳アーサー様*\(^o^)/* カッコかわいいです♪ ウサ耳エルディスはぜひカフェフローラで働いてほしい〜
[良い点] ウサ耳エルディス!可愛い さらに!トラ耳アーサー様!!リティリアにしっぽを絡ませたりして(≧∀≦) ご褒美回ありがとうございます♪
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ