それはお揃い 4
「それにしても、早々にあれを開けるとは」
「アーサー様?」
少しだけ眉の間にしわが寄っている騎士団長様。
プレゼントを贈ってくれた時は、どこか嬉しそうだったのに、今はもの憂げだ。
「……あの宝石に何か」
「……そうだな」
少しだけ微笑んだ騎士団長様。
でも、やはりその瞳は不安げに揺れている気がする。
いくら騎士団長様でも、確かにあの宝石は大きすぎたように思う。
アクセサリーにも使えない宝石なんて……。
「あれは、部屋に置いておくように」
「……分かりました」
やはり何かあるのだろう。
無理に笑っているように見えるもの。
「さあ、お揃いについて教えてくれると言ったな?」
「えっ、は、はい……」
「楽しみにしている」
「えっ、あの……」
お揃いについて分かってもらおうと意気込んだけれど、実際のところ誰かとお揃いでなにかを持ったことなんてない私。
とても残念だけれど、店員さん任せになりそうではある。
お揃いといえば、いつもオーナーは、カフェフローラの制服、それぞれのスタッフに合わせてデザインを変えていた。
あんな感じをイメージすれば、いいのだろうか。
「……何を考えている?」
「えっ、あの……」
「二人きりの時に、他の人のことを考えるなんて」
「えっ、えっと」
向かいの席で、頬に手を当てた騎士団長様の流し目に、私の心臓は止まりかける。
結婚したなら、毎日このご尊顔を眺めることになるのだ。
慣れなくては……。
気合いを入れて見つめていたら、ふっと小さな吐息とともに、騎士団長様の顔が近づいてきて、頬に口づけされる。
「……いきなり」
「リティリアが可愛いのがいけない」
「えぇ」
「ところで、妖精がついてきてしまったようだな」
「……そうですね」
少しだけ、嫌な予感がする。
妖精が離れてくれないときは、大抵なにか私の周りで事件が起こる。
「……そんな顔をしないでくれないか」
「すみません」
「何があろうと、守るから」
「……無茶しないでくださいね」
「ああ」
約束しかねる、という音が重なって聞こえてきたのは、きっと気のせいだと思いたい。
でも、心の中が読めるなら、絶対に騎士団長様は今……。
「案外早く、使うことになるのかもしれないな」
「……騎士団長様」
「ちなみに、俺のセンスを疑うような顔をしていたが、あれは必要があって贈ったんだ」
「えっ、それならそうと」
「本当のことを言ったら、こうして誘ってはくれなかっただろう?」
「デート、したかったということですか?」
「当たり前だろう」
確かに、今まで贈ってくれたものは、どれもとても素敵だった。
軽い羞恥心とともに、緩む唇を隠したくて、ほんの少し私が頬を膨らませてしまったのは、言うまでもない。
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