再会と占い 2
「……お久し振りです。魔女様」
私を背に隠すように立った騎士団長様は、深くお辞儀をする。
私も慌てて頭を下げる。
「いいのよ。頭を上げてちょうだい。リティリアと一緒なら、あなたも歓迎してあげるわ。面白いもの」
「感謝いたします」
今日も魔女様は、少し怖くなるくらい美しい。
騎士団長様の緊張感が、伝わってくる。
魔女様という存在は、王都に来てから実在すると知った。
私にとっては、七色の不思議なサクランボを分けてくれる人、という印象しかないのだけれど……。
誰よりも強いはずの騎士団長様が、こんなに警戒しているところを見ると、私が間違っているのかもしれない。
「ところで、シルヴァと会った?」
「……オーナーと? ……会いましたが」
「元気だった?」
「……それは」
騎士団長様の背中に隠されて、魔女様の声しか聞こえない。
「……元気では、なかったです」
「そうでしょうね」
魔女様の足音が遠ざかっていく。
「来なさい」
少しきしんだ扉の音。
赤い屋根の小さな家に、私たちは今日も招かれる。
「それにしても、思った通り、あなたたちはそういう関係になったのね。ずいぶん子どもっぽくて、初々しくて、可愛らしいにしても」
テーブルの前に置かれた小さな木の椅子を勧められて、二人で隣り合って座る。
「今日は、リティリアもちゃんと飲みなさいね? 魔力が底をつきかけているわ。まあ、私も一緒に入り込んだのが、一番の原因でしょうから」
今日出されたのは、まっ赤でドロドロして湯気を立てる怪しい飲み物だ。
それにしても、予想よりも魔力が多く抜き取られたと思ったら、魔女様がついてきていたせいだなんて……。
「飲めないものは入っていないわ。味は保証しないけど。温かいうちに飲むと魔力が回復するわ」
その言葉に、マグマみたいな飲み物が入ったカップを手に取る。
「あら、潔いわね」
ここまで黙っていた騎士団長様が、その飲み物を一息にあおった
熱くないのだろうか……。
猫舌の私は、フウフウしながら口をつける。
確かに味わって飲んではいけない類いの代物だ。
けれど、せっかく用意していただいたので、頑張って全て飲む。
「発言をお許し願えますか?」
「……礼儀正しいのね。そういうのは、嫌いじゃないわ」
「ありがとうございます。……リティリアを呼び寄せたわけを教えていただけますか?」
魔女様は、棚の中から取り出したカードを持ってくると、私たちの前に座った。
「そうね」
差し出された一枚のカード。
そこにはやはり、恋人が描かれている。
「リティリアは、これからも選ばなくてはいけないわ」
「え?」
「でも、あなたの直感は間違いないわ」
カードがクルリと上下逆さまにされる。
「大切なものを間違えないようにね?」
それだけいうと、魔女様は棚からたくさんの七色のサクランボを取り出して私に差し出した。
「あの店のテーマ、実は毎日楽しみにしているの。でも、リティリアがいないと今ひとつ楽しくないわ」
気がつけば私たちは、淡いピンクのレンガが目印のお店の前にいた。
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