術者【デュエリスト】
要するに術式の過剰使用で回路そのものが壊れてしまうということだろう。過度に使用されたモーターが溶けて使い物にならないというように【術式】にも使用限度というものがある、ということだろう。
「無償で術式が使えないのは分かったけど、ハンデって具体的にはどんなものがあるんだ?」
「そうね,簡潔にいうと術式が使用不可になるってこと。そして死ぬわ。」
「ッッッ死ぬのッッ!?」
とんでもないことを言い出したぞ、コイツ……! 話の展開からして術式が使えなくなってただの人になるのが筋というものではないのか。それとも自分自身の価値観が歪なだけか?
「期待にそえなくて残念なところだけど確実に死ぬわ。回路がオーバーアウトして生き残ってる術者は存在しないの。術者には元々【術式】と複雑な関係があるのよ。」
そう言うと彼女は再びなにもない空間から電子板らしきものを出現させた。
「そういえば、まだ術式を扱う術者【デュエリスト】についての説明をしていなかったわね。先にこれから話すべきだったわ。」
「デュエリスト……?」
デュエリスト……直訳すれば【決闘者】か。まあ、訳してわかるようなものではないだろう。ただでさえ魔法に近い術式を扱う人間なのだから特殊な事情があるのだろう。
「そう、デュエリスト。つまるところ決闘者よ。未登録生命体【Ruca】を殲滅する人物のことを指すわ。【H・J】の一員はこの【デュエリスト】に当てはまるわ。」
「あっ……そのまんまの意味なんだ。そのRucaと相反して対立しているからこその名前ってことか。」
確かにそれならばわかる気もする。。Rucaを狩る者、Rucaと対立する者、それを統一してデュエリスト……か。言葉の通りRucaと決闘する者であり、決闘者である。