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僥倖3

「ーー!! はっ……へ?」




 声と何者かの体重によって重い瞼を開ける。なんだ、このロリっ娘。とゆうかここはどこだ? 目の前には知らない天井そして、ポ二ーテールの女の子が覗き込むようにこちらを見ている。心なしか顔が突っ張っているような気がするため頬に触れると洗濯ばさみのようなものが外れた。俺はあまりの状況で数秒ほど放心していたがすこし冷静に考えてみる。




「……あっ、起きたのね。二度と起きないと思っていたけども…」




「……えーと、まずなんて言ったらいいんだ。初対面の人間に洗濯ばさみをつけることを咎めればいいのか、のしかかっていることについて言及すればいいのか困るな。」




 彼女はきょとんとした表情でこちらを伺っている。




 「取り敢えず、降りてくれるか? 君、結構重……」




 ドスッという音と共に威勢のいい下段突きが炸裂する。軽くめり込んだ感触がする。




「ぐほっ!! ……初対面で下段突きいれるかフツー……死体蹴りレベルだぞ、こんなの……」




「死体蹴りされたくなかったらそのお粗末な口を何とかすることね、次はないわ。」




 妙に馴れ馴れしいロリッ娘をどかし、ベットから起き上がる。まずはここが何なのかを確認しなくては。知らないロリッ娘。場所の検討も付かない施設。薬品の匂い。彼女はぴょんと俺から降りると近くにあった椅子へ腰をかける。




「まったく……かなりの無茶をしたのね。運ばれて来たときには肋骨の粉砕骨折、背骨への損傷。本来なら一生車いすだったわよ、あなた。」




「いや、そんな重症患者へ寝起きに下段突きかますのは話が違うでしょうよ! それこそ死体蹴りだぞ!」




「死体蹴りはともかく傷なら治したわよ、私がね」




 傷を治した? 一生車いす生活を余儀なくするほどの容態を治すとは一体何者。というか背骨の損傷てそんな簡単に治るものなのか。ここに来てまたしても疑問が浮かぶ。さっきからよくわからないことだらけだな。自分でもよくわからない心境だなほんと……。




「……なあ、3つくらい質問していいか?」


 


「いやよ、せめて一つに絞りなさい。」




けっこう辛辣だなこのロリっ娘。




「わかった、じゃあ簡潔な質問にする。俺はあれから一体どうなったんだ?」




「倒れてたあなたをオペラが救助してここへ連れてきて私が治療を施した。って簡潔に答えたいところだけど、それじゃあなたは納得しないだろうから一から説明するわね。あなたは影の生物に襲われたところまでは覚えてる?」




「ああ……影の獣みたいなやつに遭遇してタックル受けたまでは覚えてるよ。その後は必死だったから記憶があいまいだけども……」




 そう、万引き犯を追いそのまま逃がしてしまって落ち込んでいたところに【アレ】が現れたのだ。紅いダイヤのような眼を持ち、姿は狼に近い印象である。必死の抵抗で放った回し蹴りもほとんど意味をなさずタックルの餌食になった、ということまでは覚えているのだがそれ以降の記憶がほとんどない。




 「そう、ならその後について教えるわ。」




 「ああ……お願いします……。」




 さっきまでツンツンしてたのに急に親切になったな、最初よりかは明らかに空気が朗らかになっているためこちらはがありがたい。




「まず、オペラの報告によるとRukaに襲われた後再び立ち上がって拳一つで撃退したみたいね。にわかには信じられないけどもあのRukaを気絶まで追い込んだのは確かだと聞いたわ。」




「……あの怪物を気絶させる? 突進された時点で背骨を損傷してるはずなのにどうやって動くんだよ?」




 全く記憶がない。 十八番であった回転蹴りが聞かなかった相手にどうやって 拳一つで勝ち得たのだろうか。そもそもあのRuka? というものに一般人の拳が当たるとは到底思えないが……



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