デュエリスト【術者】3
どう考えても関係してるっていう流れが筋じゃないのか?
「なんだそりゃ……じゃあ、あのニュースは一体誰が……」
「どうでしょうね、私にはわかりかねることだわ。ただ、私たち【デュエリスト】の業務には国の治安維持も多少は含まれているからそのうち連絡が来るんじゃないかしら。……【あの人】が依頼を受けるとは思えないけど。」
彼女は終わり際に何かを呟いてたような気もするがこれ以上話がずれるとこちらの理解が追い付かず、暴発しかねない。頭の容量はほとんど余裕がないため、簡潔にそして単純に理解していくことが大切なのだ。余計なことを考えている暇も余裕も毛頭ない。
「えーと、要は今起きてる事件とRukaは関係していないってことだよな、それが知れただけでも良かったよ。いや……よくはないけども」
「この町に新しいバイアス【偏り】が現れてるのは確かね、それも悪い方の……。1か月前は比較的安定してたけど今は町全体がピリついてる。」
「そうゆうのって自然とわかるもんなのか? 普通に過ごしてたらなにも感じないんじゃ……。」
そもそも町がピリついているのかどうかすらも自分の中では怪しい。行方不明者の続出で警察や市民が騒ぎ出したというくらいしか察せないのだが……。
「そうね。センス【源力】が感知できない一般人はまず気が付かないわ。せいぜいニュースや騒動で気が付くかどうかってところよ。」
「そのセンス……ってやつはなんなんだ? 術式とかデュエリスト【術者】に関係している感じなのか?」
「ええ、センス【源力】は術式回路と同じくらいに重要なものよ。ただこれは術式回路が発現していなくても使用できるし感知することも出来るわ。」
「術式回路を発現していなくても術式が使えるってどういうことなんだ?」
回路が発現していなくても術式が使える? それだとさっきの術式回路と術式の説明が食い違ってこないか。確か、術式回路が発現していない者は術式を使えないとかなんとかって……その理論が通れば術式回路を経由しなくても使える術式があるということなのではないか?
「流石に気づいたみたいね、貴方の考えた通りよ。術式回路を発現していなくとも使用できる術式は少なからずは存在するわ。簡易的な術式だけども一応極めれば術者に引けを取らないほどの効能を発揮するわ。術式回路が発現している人間も使用することが可能だから使い勝手はかなりいいのよ。」
「っそれって俺でも使えるってこと!?」
ついに自分でも使えそうな術式が現れてきたのではないだろうか。これで自分も魔法使いもとい術者になれるのでは……
「使えない」
彼女は淡々と言い放った。