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70.エリック来訪

 ロバートが、タイハクに騎乗してエリックを迎えに行き、道案内をして自宅に戻ってきた。

 ちなみに、予め土魔法で、馬車が通れる程度に道を整備していた。


 オリハルコンゴーレムが、敷地境界で出迎えるように立って警備している。その極めて異質なゴーレムを初めて見たエリックが一瞬目を剥いていた。

 玄関に着くと、ロバートはタイハクから鞍を外してやり、ありがとうと背中を撫でてから、自由にしていいぞとお尻を軽く叩いた。

 そのタイミングで、スルスルと近づいてきた土ゴーレムが、大きめのニンジンを口元に差し出すと、タイハクがガブっと咥えこみ、厩舎の方へゆっくり歩いて行った。

 ニンジンを渡し終えた土ゴーレムは、ごく自然な動きでロバートから鞍を受け取って、片付ける為に厩舎の方へ歩いて行った。

 それらの動きはロバート達が教えたものではなく、ゴーレム自身が見て学んで成長しているようだ。


 馬車の扉を御者が開けると、先ずエリックが降り立ち、その後から、年配の女性が1人と、若い女の子が2人出てきた。

「ライラ!久しぶり。」

 ロバートが年配の女性に近づきハグをする。

「まあまあ、坊ちゃん。大きくおなりになって。」

「そうだね。最後に会ったのはいつだったか・・・。もう5年以上前かな。でも元気そうで何よりだよ。」

 ロバートがライラと呼んだ女性に懐かしそうに話していると、

「旦那様。まずは中に入って頂きましょう。馬車での移動で、皆さまお疲れでしょうから。」

 いつの間にか、玄関まで迎えに出てきていたレティがロバートを諫める。


「ああ、そうか。では、父上。ようこそわが家へ。どうぞ中へお入りください。」

「分かった。ライラ達も一緒に来なさい。顔合わせが必要だろう。」

「承知いたしました。」

 エリックが、一緒に来た女性陣に声を掛け、家の中へと進む。


 レティとエルザが先導して応接間の方へ連れて行くのを見て、ロバートは、御者に来客用の車庫と厩舎を示し、馬車と馬をそちらに納めるように頼んだ。

 護衛の騎士には、その厩舎の横にある別棟を示し、適当に泊ってくれていいと伝えた。エリック達には、自宅の方の客室を用意するので、護衛についてはエリックと相談してくれと伝えておく。

 これらの建物も、事前に準備して建設しておいたものだ。普通の馬が怯えてしまうとマズいので、スレイプニル達の厩舎とは距離を離してある。

 ここまで働いてきた馬の為に、ゴーレムに野菜を持っていくように指示しておいた。ゴーレム達は、自我があるのかどうか分からないが、色々と経験値を積んで、より効率よく動けるようになっている。



 馬車や馬の対応を終えたロバートが応接間に入ると、ちょうどレティが、全員分のお茶を入れたところだった。

「遠いところをお疲れ様。先ずはお互い紹介しようか。」

 ロバートはそう言うと、自分の妻達を紹介する。龍だとか踏み込んだ情報は伝えないが。

 その後、エリックから連れの女性陣の紹介を受ける。

 ライラは、代々辺境伯家に仕えてきた家の出で、若い頃から侍女→侍女長として領都の城で働いていた。エリックが生まれるときには、助手として立ち会っていたし、ロバートとロイの誕生に際しては、彼女が中心となって取り上げてくれた。よって、3人は身分差に関係なく彼女に敬意を払っていた。

 若い女の子は、ライラの曾孫の双子姉妹で、姉がサラ、妹がセラと名乗った。


「まさかライラが来てくれるとは思っていなかったよ。でも、いいの?こんな周りに何も無いようなところに来ても。」

「私も歳で職を辞してからこの子達の面倒を見つつのんびり暮らしておりましたが、もう11歳と侍女見習いとして働ける年齢になって、どうしようかと思っていたところに、ご当主様から坊ちゃんの独立とご懐妊の話を聞きまして・・・。私の方で出産の対応はできますし、こう申しましては何ですが、この子達にとってもいい経験になると思ったもので、今回のお話を喜んで引き受けさせて頂きました。」

「ありがとう。俺としても気心の知れたライラが居てくれると助かるよ。サラとセラもよろしくお願いするよ。」

「「かしこまりました。」」

 教育は受けてきている様で、セラとサラもキチンと受け答えできるようだ。


「基本的な仕事内容は、レティとエルザの妊婦生活のフォローと食事の準備といったところだ。特に出産の対応が一番大事だね。掃除と洗濯は魔法で一瞬で終わらせられるから、やる必要は無いので、それ程忙しくはならないと思う。給金はこんな感じで考えているけど。」

 ロバートが仕事内容の説明をした後、紙に書いた給金の額をエリックとライラに示した。

「領都の城勤めと同等だな。ああ、仕事内容からすると貰い過ぎだとか言うな。こんな辺鄙なところに来てくれてるんだからライアンの気持ちも汲んでくれ。」

 ライラが何かを言う前に、エリックが先手を打って遮る。


「・・・、分かりました。過分な報酬ですがありがたく頂いて、それに相応しく務めたいと思います。」

 ライラは少し考え込んだ後、受け入れる旨を示した。

「よろしくお願いするよ。今日は疲れているだろうからゆっくり休んでくれ。これから案内するけど、当面は2階の客室を使ってもらうから。」

「旦那様。そろそろ夕食の準備をしますので、私達は失礼します。」

 レティがそう言って退出しようとすると、

「恐れながら、今後の為にもお手伝いさせて頂けないでしょうか?」

 サラが控えめな感じで尋ねる。

「ええっと、・・・」

 レティがロバートの顔を伺う。

「うん、じゃあ手伝ってもらったら。厨房の使い方とかもどうせ見て貰わないといけないし。」

「分かりました。それではこちらへお願いします。」

 ロバートの奨めもあり、レティとエルザは、セラとサラを伴って、応接間を出て行った。

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