5.出立
ここから、主人公パートでは、主人公視点で進めます。
翌朝、俺は、前日に準備した食料を空間魔法である異空間収納に納め、倉庫で見つけたダミー用のバッグと2本のミスリルの剣を持ち、屋敷を出た。
異空間収納は、使用者の魔力次第で収納量が変わり、膨大な俺の魔力では実質容量の制限は無いようなものだ。生き物は収納できないが、収納したものの時間経過は無い。
また、昨日のうちにミスリルの剣に付与魔法をかけ、強靭さと切れ味をかなり強化した。
さあ、冒険者ギルドに到着し、早速中に入った。王都だけあって立派な建物で、1階には酒場と食堂が併設されている。看板を見ると、2階がギルドマスターの部屋やギルド事務室があるようだ。
かなり早く来たせいか、受付前はそれほど混んでいない。冒険者登録をしてしまおう。
「冒険者登録をしたいんだが。」
「ようこそ冒険者ギルドへ。それではこちらの記入用紙に、お名前、登録職、その他書ける範囲で記入してください。冒険者は個人情報を極力隠したい方も多いので、全て記入する必要はございません。」
と言って、受付嬢が記入用紙を手渡してくる。
明るい茶色の髪のなかなかの美人だ。貴族のように塗りたくった化粧ではないのが好ましい。
「では、これで。」
と記入した用紙を渡すと、
「はい、ロバート様、魔術師で登録でございますね。ギルドの基本的なご説明をいたしましょうか?たまに不要と仰る方もいらっしゃいますが。」
「よろしく頼む。」
と、説明を受けた。
内容としては、依頼は、ギルドの掲示板からランクに見合ったものを選んで手続きをして受注する。依頼を達成したら受付に報告し、完了確認後報酬を受け取る。依頼を失敗した場合は、報酬額の3割を罰金としてギルドに支払う。ランクの見合わない受注も可能だが、お薦めしない。他に、受注手続きが不要で完了処理だけでいい常時依頼、特定の冒険者を指名した指名依頼、大規模被害が予想される事態に対する緊急依頼などがある。また、依頼がなくとも、魔物や薬草、鉱物などの素材の買取もしているとのこと。
冒険者ランクは、上からS・A・B・C・D・E・F・G と設定されており、依頼達成、ギルドへの貢献などが加味されランクが上昇する。
ギルド証は、世界各国共通で使用でき、再発行にはお金と時間が掛かる為無くさないように。
基本冒険者は自己責任の世界。冒険者同士の争いは、よほど悪質なもの、国や街に被害を与えるもの等でなければ、ギルドは関知しない。といったところだった。
「内容を理解して頂けたようですので、犯罪履歴確認をさせて頂きます。これは登録条件として強制になります。レベル測定と魔力測定はされますか?こちらは強制ではありませんが、犯罪履歴と一緒に確認できますし、値によっては、通常Gランクからのところ、より高いランクに認定されることもあります。」
ということで、隠蔽効果の確認の意味もあり、水晶でできた魔導具で測定してもらった。
「犯罪歴はありません。レベルは20、魔力値は4500 ですね。この値であれば、ランクEからのスタートが可能です。ランクEは一般的にまだ下級冒険者という区分ですが、中級冒険者であるランクDへ近く、そこから始められるのはかなり有利だと思います。特に不利益は無いと思いますが、どうなさいますか?」
「では、Eで頼む。」
隠蔽は問題なさそうだな。
「それではこれがギルド証になります。これで手続きは終了です。よい冒険者生活になりますように。」
「ありがとう。では。」
フロアを見渡すと、冒険者はほぼいない。掲示板の依頼票の数が少ないってことは、俺が来る前に既に多くの冒険者は依頼を受けて出発していたってことか。俺は早かったのではなく、遅かったんだな。
ギルド証の提示で、問題なく門を通過し王都の外へ出た俺は、とりあえず≪探知≫魔法を常時展開し、“地図”スキルと連動させた。これで、人・魔物・動物を、敵対/中立/味方の区別付きで判別できる。今は凡そ半径1kmといったところか。何故かこれも日本と同じ単位だ。もっと魔力を込めれば範囲を広げられるが、今は必要ないか。範囲内にいる人・魔物・動物は、現在皆中立だ。魔物なんかはこちらを認識すると敵対になるかもしれないな。俺個人ではなく、人への悪意という区分も入れてみるか・・・。おっ、幾つかの魔物の区分が変わった。王都の近くだけあって危険度の低い魔物ばかりで、特に脅威ではないな。
そういえば、日本の物語での テンプレ というギルドで先輩冒険者に絡まれることはなかったな。人も少なかったし、絡まれたい訳ではないんだが。
まあ、これからは自由だ。何事も色々と経験していけばいいか。
今、俺は最終到着地点として領都を考えているが、中継地は何も考えていない。領地の方向である南に進路を取って、街や都市に立ち寄り冒険者として依頼をこなして金を稼ごう。ダンジョンはどこかにあったかなっと地図を確認しながら歩き続ける。




