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45.久々の外出

 拠点を確保し、住居を整えて、約3ヶ月ほどたった。

 その間、どこかに出かけることもなく、3人でのんびりした生活を送っていた。


「そろそろどこかに出かけたくなってきたね。」

 居間でレティの入れてくれたお茶を飲みながらロバートが呟く。3人でお茶したり、イチャイチャしたり、戦闘訓練したりすることに飽きたわけではないが、たまには刺激が欲しくなるのだ。

 裏の畑は、ロバートの魔力が注がれた為か、食べ残した種を植えただけでも異常に速く生長して、10日程で作物が収穫できるようになっている。嬉々として農作業している(様に見える)ゴーレムによって、異空間収納を≪付与≫して時間経過無しにしたバッグにどんどん蓄積されている。


「確かに、農作業は、ゴーレムが頑張ってくれているので、旦那様が手出しすることもないですし、手持ち無沙汰ですね。」

「私は、次々と新メニューを開発するレティに追いつこうと思って頑張ったから、料理の腕は上がったと思うわよ。」

「エルザの料理はもう間違いなく一流だと思います。」

「ホント?」

「うん、エルザの料理も本当に美味しいよ。」

 2人の可愛い奥さんの会話を微笑ましく思いながら、ロバートが答えると、フフフっとエルザとレティもニコニコ顔になる。


「旦那様がお出かけされるのであれば、私たちも喜んでご一緒しますが、この家の留守をどうしましょうか?」

と、レティが、思いついたように尋ねる。

「防衛用のゴーレムも作るか。“創造”して作り溜めていたオリハルコンを素材にすれば、そうそう負けることはないだろう。それに加えて、土地全体と家にそれぞれ強力な≪結界≫を掛けておけば安心だと思うよ。≪結界≫に触れられたり破られたりすれば感知できるしね。」

 ロバートが何気なく常軌を逸したことを語るが、2人ともいつものことだと苦笑するだけだ。

「それで、どこに行かれますか?」

 レティが、ロバートにお茶を注ぎ、手作りのお菓子を追加しながら聞くと、

「そうだなぁ、久しぶりにギルドに行って依頼を物色してみるかい?」

「そうねぇ、どうせなら港町がいいわ。また新鮮な魚を調達に行きましょうよ。」

「賛成です。かなり魚介類の在庫が少なくなってきてますので、仕入れましょう。」

 エルザもレティも、料理にハマって、前にも増して食へのこだわりが強い。あの町のギルマスは相性が悪いが、魚介類に関してはロバートも異論はないので、

「よし、じゃあ、早速明日港町に出かけることにしよう。準備は・・・、だいたい必要なものは収納に入ってるか。じゃあ、俺は、外で防衛用ゴーレムを作って来るよ。レティ達は、簡単に食べれるものを作って収納しておいてね。」

と言って、オリハルコンゴーレム2体の“創造”に取り掛かる。

 賊が来ても、出来れば姿を見ただけで逃げ出してくれるような外見を考えた結果、フル装備の騎士のような甲冑を模した外見に加えて、槍と大型の盾を持たせてみた。王城の廊下に飾ってあるような光沢のある騎士風の姿を見て、それなりに恰好よくできたとご満悦であった。



 翌朝、昨晩の心地良い疲労も寝たことですっかり回復していた。ロバートは2人におはようのキスをしてベッドから出て窓を開ける。

「うん、お出かけ日和だ。」

「おはようございます。すぐに朝食を準備しますね。」

「おはよう、いい天気ね。レティ待って、私も行くわ。」

 2人とも素早く着替えて、食堂へ向かった。

 ロバートも着替えを済ませ、剣や武具の点検を終えてから食堂へ向かった。



 朝食を済ませた後、ロバートが各ゴーレムの魔法石に魔力をフルに注いでおく。

「すぐに帰ってくると思うけど、念の為にたくさん魔力を込めておく方がいいね。」

「そうですね。旦那様は、その・・・、なんというか、色々と巻き込まれやすいので・・・。」

「すぐ帰ってくるつもりでも厄介事を引き寄せるからすぐには帰れないかもね。」

 2人の言い様に、不本意な表情をしてロバートが答える。

「俺だって、好きで厄介事に首を突っ込んでいるつもりは無いんだけどね・・・。」


 出発前に、土地全体を囲むものと、家の外壁に沿った形の2つの≪結界≫を展開した。

「じゃあ、留守の間よろしくね。」

 ロバートがゴーレム達に声をかけて、レティと一緒に龍形態のエルザの背に乗った。勿論、≪認識阻害≫を掛けて人の注目を集めない様にして飛び立った。ちなみに常時展開している≪探知≫は、自宅に住み始めた頃からのんびり暮らしたいという理由で、敵対とか悪意といった害のあるものだけを限定して対象としているので、特に反応は無い。



 大した時間もかからず港町手前で地上に降り立ち、そこからは3人で歩いて街に入った。

「早速、魚市場に行きませんか?」

と、ロバートの右腕に腕を絡ませながらレティが上目づかいで要望を出したので、ロバートもニコニコと頷く。

「どんどん買って溜めていこう。好きなだけ選んでいいよ。」

「食べ歩きしてもいい?」

「勿論。」

 負けじとエルザも左腕に抱きつきながらねだり、ロバートはこれも快諾する。


 3人で歩きながら屋台を覗き、美味しそうなものを買って食べては満足したものを追加で買い溜めていく。ある程度お腹が膨れたところで、ようやく魚市場に到着した。

 レティとエルザが相談しながら、今まで食べて美味しかったものは勿論、食べたことがないものも店員に情報を聞きながらどんどん購入していく。

「これは、生で食べた方がいいみたいです。」

「こっちは、頭の部分からいい出汁がとれるみたいよ。」

 食べ方の情報収集もしっかりしている。


 大量の魚介類を買い込んでいるうちにある程度時間が経過していたらしく、3人とも既にお腹がすいていた。

「折角だから、市場の食堂で昼食にしよう。」

「はい、すっかりお腹が空きました。」

「また色々な種類の料理を頼みましょうよ。」

 美味しい料理を期待しながら、ゆっくりと食事が楽しめそうな食堂を選び、中に入ったところで、ロバートは見覚えのある男が食事をしているのに気が付いた。


ここから全般的に三人称に変更しました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 更新お疲れ様です(*`・ω・*)ゞ 2章スタート! 大変かもしれませんが、 応援しています!!!!!!
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