42.拠点承認
調査の報酬を受付で受け取り、素材を出すべく解体場へ向かう。
今回は、食肉系は除き、以下の買取となった。
オーガ × 38 × 40000ゴルド
トロール × 29 × 50000ゴルド
サイクロプス × 23 ×100000ゴルド
角猪の角 × 45 × 2000ゴルド
常時依頼報酬を含め、合計680万ゴルドを受付で受け取った。
さて、抱えた案件も片づけたし、拠点場所を決める為に、ロイに相談に行くかな。
「拠点を作るのをどこにするか決める前に、ロイに相談しに領都に行こうと思うんだ。想定しているところでいいのか確認しないとね。」
「承知しました。」
「分かったわ。じゃあ、飛んでいく?」
「そうだね、まだ日も高いし、もう今日のうちに飛んでいくか。じゃあ、町を出て、離れてから飛ぼう。」
港町を出て、しばらく歩いて人気のないことを確認してから、≪認識阻害≫を掛け、龍になったエルザに乗せて貰って、領都近くまで一気に飛んだ。
普通に入場し、城を目指す。
前回と同じく、面会申請の受付に行くと、
「あ、ロバート様ですね。マーク様をお呼びしますので、こちらの部屋でしばらくお待ち願います。」
と、前に対応してくれた受付嬢によって、同じ部屋に通される。
「事前連絡もしなくて申し訳ないね。」
「いえいえ、お気遣いなく。ロバート様のことは聞き及んでおりますので。」
そう言うと、お茶の指示をして出て行った。
お茶を飲んで寛いでいると、ノックをしてマークが入ってきた。
「ライアン様、お待たせいたしました。ロイ様も今はお忙しくないですので、直ぐにご案内いたします。」
「お帰り、兄さん。今日はどうしたの?」
「ああ、幾つか報告と、尋ねたいことがあってな。まずは報告から・・・」
前回領都から出発して、今日までの出来事を順に話した。
・荷物輸送と盗賊の件
・代官の息子探索の件
・グリフォンクイーンの件
・隣国の公爵令嬢(狙いはおそらくグリフォンクイーン)の件
「ええと、公爵令嬢の件以外は、解決済みってことでいいんだよね。」
「ああ、そのうち港町の代官から連絡が来るんじゃないか。」
「まあ、公爵家から正式な連絡が無いから、何かあってもこっちに責任は無いって突っぱねれるけど・・・。でも、面倒くさい・・・。うん、巡回の体で、騎士団から小隊を送るよ。」
「まあ今となっては目標には会えないだろうし、とっとと諦めて帰ってくれればいいけどな。」
「それで、尋ねたいことって?」
ロイが改めて聞くので、主目的を思い出した。
「そうそう、そろそろ俺達の拠点を作ろうと思ってだな・・・、最初は領都でもいいかと思ったんだが、3人で話しているうちに、都市の中に作る利点があまりないという結論になったんだ。そこで、敷地内で農作業も出来るくらい広い土地を都市の外で確保できないかなぁと。その場合、誰の許可を取ればいいのかを確認したかったんだ。」
「え~、領都に住んでくれるんじゃないの?・・・残念だなぁ。まあ、土地についてだけど、都市、町、村の外の未開拓の土地は、基本領主のものだから、私が許可を出せるよ。まあ、今までも許可なく開拓しても、事後承諾で開拓者のものとしたこともあったけどね。遊んでいる土地が耕作地になって税が納められるレベルになれば、領地も発展するから。」
「そうか、じゃあ、立地的には、領都の南西側で、こことオールドの町を繋ぐ街道と、港町から西に向かう大森林沿いの街道に挟まれた辺りを考えているけど、問題ないか?この辺の特に何もないところだけど。」
執務室の壁に貼ってある地図で指し示しながら聞く。
「そこなら問題ないと思うよ。ただ、街道から人が興味本位で近寄ってこない?」
「なるべく街道から距離を離すよ。あと、周りは土塀で囲んで、≪認識阻害≫も敷地全体に掛ける予定だ。」
「敷地全体に!?」
ロイが驚愕の表情を浮かべる。
「ああ、多分可能だ。≪結界≫も掛ければ万全だな。」
「・・・そう。」
ロイがもう諦めたといった顔をしている。
「そうだ、連絡が出来るように、≪式神≫を何体か置いていくよ。これに連絡事項を書き込んで、魔力を流せば、鳥の形になって俺の魔力目指して飛んでくるから。」
「もう、何でも使えるんだね。でも、ありがとう。今後の連絡をどうしようかと思ってたんだ。」
「ああ、そう言えば、届いたよ。手紙。」
「ん、手紙?俺にか?誰からだ?」
「マーク、あの手紙持ってきて。」
「はい、既にこちらに用意してあります。」
マークが豪華な装飾のついた箱を持ってきて目の前のテーブルに置いた。
あ~・・・。
仕方なく、箱の蓋を開け、手紙を取り出す。やっぱりサンドラか・・・。
「ロイ、今日は泊っていっていいか?今夜中に返事を書いてとっとと出してしまおう。」
「勿論、もっと長い間いても全然いいんだけど。でも、王女への手紙をそんな適当でいいの?」
「別にいいだろ、もう終わった話だからな。あ!?そんなことより、港町で大量に海の魚介類を買い込んだんだった。時間停止してるから、生で食べれるものもあるぞ。俺達はまたいつでも調達に行けるから、要るだけ置いていこう。俺のせいで迷惑や心配かけただろうから使用人にもたっぷり食べさせてやってくれ。レティもあそこで食べたものでレシピが分かるものは料理人に教えてやってね。」
「承知しました。」
「そんなことって・・・。本当に王女が不憫になってきたよ。」
「よし、じゃあ、話も終わったし、俺は部屋に行って手紙の処理をするよ。その前に食材を厨房に持っていくか。レティとエルザは厨房にいる?」
「そうね、味見をしてあげるわ。」
なんかドヤ顔で言っているが、つまみ食いしたいだけだろうに。
「処理って・・・。」
ロイがなんか呟いているがしらん。
「それじゃあ、また夕食時に。新鮮な魚介楽しみにしているよ。」
とロイが気を取り直して出て行ったので、俺も厨房に食材を置いて部屋へ向かった。




