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36.異変?

 夜中、寝入りばなに、≪探知≫に悪意が引っ掛かった。

「旦那様・・・?ん、これは・・・。」

 レティも気が付いたようで、俺の胸に埋めていた顔を起こした。

 逆側に添い寝しているエルザはぐっすり眠っている。

「この宿目指しているみたいだけど、敵対ではないから、狙いは俺達ではないね。」


 この宿は、この町でも高級なものであり、それなりの宿泊客が泊っている。

 今夜の場合、ターゲットになりそうなのは、大商会の商会長、他国の貿易船の船長、他国の貴族令嬢といったところか。

「どうされますか?」

「宿で騒ぎを起こされても困るね。かと言って出て行って迎撃する義理もないし・・・。諦めるまで宿に≪結界≫を張っておこう。」

 宿の建物に沿って、≪結界≫を張った。

 悪意といっても、特定の人への害意も含むので、単純に善悪を決めつける訳にもいかない。

 なので、手を出さず被害も出さずの方法を取った。


 何度か、結界を突破しようとする攻撃を感じたが、諦めたのか今回は撤収していったようだ。

 他の人に気がつかれないうちに≪結界≫は解いておいた。

 もう少し寝よう。



 朝、ゆっくり寝て、少し遅めの朝食をとった後、取りあえずギルドに向かうことにした。

 昨日の襲撃未遂は気になったが、自分が標的でない以上、積極的に対応する必要もないだろう。


 ギルドに入り掲示板を見に行こうとすると、受付嬢に呼び止められた。

 バタバタして伝え忘れていたが、エルザのランクがDへ上がるとのこと。


 エルザのギルド証を更新しながら、受付嬢がついでのように言う。

「そう言えば、西の大森林で魔物の動きがあやしいと帰ってきた冒険者から連絡がありまして、魔物の氾濫の兆候かもしれないということで、調査依頼があります。少し深めに立ち入っての調査ですので、ランクの高い依頼になるのですが、高ランクの方が現在ほとんどいらっしゃらなくて・・・。」

 チラチラと俺の顔を伺う。

 いや、町や領民に被害が出そうなことなら、普通に言ってくれれば受けるよ。

 

「了解。調査の詳細を教えてくれ。ダンジョンではなく、森林の中なのか?」

「はい、情報によると、西のダンジョン入口からは少し距離があるところなのですが、通常ランクEの魔物が多い浅い区域でランクDの魔物が多数、ランクCも何体か目撃して、急いで戻ってきたそうです。」

「浅い区域って、どのくらい?」

「大森林の北の端から南に10kmほど進んだところとのことです。」

 大森林は、南北300~400kmと言われている。


「なるほど。確かに浅い区域だな。そこで何を調べれば?」

「伝えられた情報の確認と、その原因の確認ですね。ただ、原因の特定は難しいかもしれませんので、更に詳しい情報の入手でも依頼達成になります。」

「魔物は狩ってしまってもいいか?」

「はい。むしろ増えているようなら間引いて頂いた方がいいです。」

「分かった。受けるよ。」

「はい。よろしくお願いします。」



 ギルドを出て、町の外へ向かう。

 食料や調味料は大量に収納されているので、特に買い足す必要は無い。

「さて、依頼内容が漠然としているから、大森林の中でひたすら≪探知≫する感じかな。」

「私は大森林は初めてなので、歩き回ってもそれはそれで退屈しないかと。」

「まあ、俺も中に入るのは初めてだから興味はあるよ。エルザは?」

「私は、主に餌場として入ってたわね。」

「やっぱり海側にランクが高い魔物がいるの?」

「そう言われればそうだったかも。あまり気にしてなかったわ。」

「まあ、エルザから見ればどれも弱者だろうからね。」


 話しながら町を出て歩く。

「そろそろ乗っていく?」

 エルザが提案してきたので、

「じゃあ、大森林の北側の境に沿って飛んでもらって、魔物の分布が固まっているところをあたろうか。」

 ≪認識阻害≫を掛けて飛び立つ。


 大森林の北端沿いに飛んで≪探知≫したが、大きな群れや、北側に向けて氾濫するような動きは確認できなかった。

 そのまましばらく北端沿いに西に進んでいくと、ランクCの魔物が比較的浅い区域にいるのが確認できた。

「あの辺りかな。じゃあ、降りて大森林の中を歩いて進もう。」

「了解よ。」



 地上に降りて、北側から大森林に足を踏み入れる。

「依頼内容が調査だから報告できるように、歩いて周囲の状況も確認しながら行こう。」

 浅い区域では魔物も少なく、偶にランクEの魔物が出てくる程度だったが、軽く威圧して追い払った。


 周囲を目視で観察しながら南方向へ歩いていくと、ランクDの魔物が徐々に増えてきた。角猪など、食肉となるものは狩って収納しておく。

「今日はこの辺で野営するか。」

 いつも通り小屋を出し、≪認識阻害≫と≪結界≫を掛ける。

 レティとエルザが作った肉料理を食べながら話す。

「ここから少し行くとランクCの魔物がたくさんいるけど、特に北に向かっている様子はないね。なんだろう、南に行きたいけど行けないっていう感じかな。」

 ≪探知≫を広げれば何かわかるかも知れないけど、明日のお楽しみにしておこうか。


忙しくなり、更新が遅くなりました。

今後は、更新のペースが週一くらいに落ちます。

すみません。

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