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35.観光

 ギルドから出ると、既に夕方になっていた。

「さて、明日はゆっくり観光でもするかな。」

「ここには何があるの?」

 エルザが聞くので、

「基本は港町だから、貿易港と大きな船、漁港と魚市場、あと塩田とかかなぁ。」

「そういうのを見ながら、ゆっくりと散歩するだけでも楽しいと思います。」

「そうね。」

「じゃあ、明日は散歩しながら観光しよう。」


 昨日と同じ宿に行くと、今日は3人部屋が空いていたので、3人一緒に部屋で仲良く夜を過ごした。


 

 翌朝、朝食を食べて、早速出かける。

「魚市場は、その周りに食べる店や屋台があるから、お昼前に行けばいいと思うよ。」

 港の方に歩いていく、貿易港では、大きな荷船が並んで、荷物の積み下ろしをしている。

 この王国内には他に港が無いため、他国との取引を行っている商会の出張所がこの港町に集中しており、港は活気に満ちている。

「凄い人と活気ですね。」

 レティも珍しいものを見るように眺めている。

「うん、人は本当に働き者ね。数年平気で寝ている竜種とは違うわね。」

「「数年・・・。」」



 次は、塩田を見学する。

 海岸沿いに広がる塩田を見て、レティが目を丸くしている。今までこんなにのんびりと何もしなくていい時間を取ってなかったので、楽しんで欲しい。

 海塩は、国内ではこの海岸でしか作れない為、辺境伯家が代々生産を拡大して、大量流通させて安価な供給を続けてきている。岩塩を生産する領地もあるが、海塩に比べるとどうしても価格が高くなって売れ行きが落ちる為、度々価格調整をして海塩の価格を上げるように申し入れが来ているらしい。よって、もっと価格を下げても儲けは出るのだが、民衆の生活を圧迫していない現状では、更なる値下げは控えているようだ。

 というような話を2人に聞かせながら、見学を続けた。



 昼近くなったので、お楽しみの魚市場に向かった。沢山の漁船が水揚げをしている魚港のすぐ横にあり、こちらも活気に満ちた競りが行われていた。

 市場の周囲に、魚介料理を出す食堂や屋台がたくさん並び、昼近くなってどんどん客が増えてきて賑わっている。


「折角だから、落ち着いて食べれそうな店を探そう。」

 幾つか店を見て、ゆったりした食事スペースがある店を選んで入った。

 お任せで注文し、出てきたものを順に食べていく。

 捕れたばかりのものを仕入れているだけあって、新鮮でおいしいものばかりだった。

 さすがに、これだけ競争の激しいところで営業しているだけのことはあった。

 向かいに座って食べている2人を見ても満足そうだ。


「このタコも美味しいよ。」

と、タコを油で揚げたものを示す。

「タコとはなんでしょうか?」

「足が8本あって、体がグニャグニャしている奴だよ。クラーケンっていう魔物に似てると言われている。」

「クラーケンなら前に一度捕まえたけど、足を巻き付けてきて、吸盤がくっついて気持ち悪かったわ。美味しかったけど。」

と、エルザが顔を顰めながら言う。

「そうなんですね。あ、美味しいです。」

 レティは、話を聞いても特に嫌がる様子もなく次々に口に運んでいる。気に入ったようだ。



 料理に満足して、店を出た後、海岸の端の方へ歩いて行った。

 入り江を挟んでいる岸壁の片側を眺める。

「ここが、お母様がブレスで抉った場所ね?」

「よくよく見ると、岸壁の中腹が凹んでて、上がややせり出している感じだな。如何にもブレスが通ったっていう形状だ。」

「凄いですね。古龍様のブレスって。」

 古龍本人(本龍?)から聞いたので、間違いないだろうが、凄い威力だな。

「あの時、シルフィーに古龍様の気を引いてくれって頼んだけど、ブレス直撃してたら消滅してたんじゃないかこれ?エルザにもかすってたし。」

「冗談じゃなく死んでたかも・・・。」

 3人で古龍のブレスを思い出しながら、海と岸壁を見物した。



「さて、あっという間に夕方になったね。夕食を食べに行こう。何がいい?」

「折角だから、また魚が食べたいわ。」

「私も、この町に来て、魚があんなに美味しいものだと知りましたので、もう少し魚を食べたいです。」

 エルザにつられて、レティも希望を言ってくれるようになっていい傾向だな。

「よし、じゃあ、また魚市場に向かおう。」



 また魚市場の食堂で魚介類に舌鼓を打ち、満腹感に大満足して宿に向かった。


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