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22.ギルドマスター

 40階層のボス部屋に入ると、中には、ランクAのマンティコアが10頭いた。まるで人間のような顔を持ち、体が獅子の魔物だ。どうやらその肉は不味いようだが、奴らは人の肉が好物らしい。尻尾の先の毒針程度しか素材にならないようだし、これはまるごと収納はやめて、魔法石にするか。

 

「ブレスレットもあるし、毒は効かないと思うけど、わざわざ受ける必要ないよね。」

 10頭とも≪麻痺≫させて、止めを刺した。しかし、ランクAだけあって魔法耐性があるのか、少し強めに魔力を込めて≪麻痺≫させる必要があった。

 魔法石になるまでしばし待って回収した。


 レティのレベルは124まで上がっていた。

 ちなみに俺は少しずつ上がり537となっている。


 41階層安全地帯で到達登録し、水晶でダンジョンから出た。


 ギルドに行き、買取を依頼し、解体場へ向かった。

 魔法石はまだ手元においておこう。

 解体した竜の皮は全部は売らずに素材として幾つかは残しておこう。

 肉は売らない。これ大事。


 オーガ    × 7体 × 40000ゴルド 

 トロール   × 4体 × 50000ゴルド

 サイクロプス ×19体 ×100000ゴルド

 亜竜の皮   ×20体分×300000ゴルド

 地竜の皮   ×20体分×350000ゴルド


 常時依頼報酬含めて約1800万ゴルドになった。うん、金銭感覚がおかしくなる。

 さて宿に行こうかと出口へ向かおうとしたことで、受付嬢に呼び止められた。

「先日お話しましたランクB昇格試験の件、試験官が見つかりましたので受験可能です。最短で明日の昼に可能ですが、如何しますか?」

「いつでもいいんだが・・・。ところで確認してなかったが、ランクBになった後、義務とか増えたりするのか?」

 受付嬢が分かりやすく困った顔をした。


「実はランクBになると、緊急依頼への参加義務が発生します。勿論参加できる場所に滞在している場合に限りますが。」

「緊急依頼は、大規模被害が予想される事態に対するもので、国や個人の利益を目的には発動されないという認識でいいか?」

「その通りです。」


 まあ、その建前がどこまで保たれるか分からないけどね。

「それでは試験を受けよう。明日の昼で構わない。」

「承知しました。そのように手配しますので、明日の13時にここにお越しください。」

「分かった。」


 ギルドを出て宿を探す。さて、お金も潤沢にあるし、風呂のある宿にするか。

 1泊2食付き、2人で60000ゴルドとお高い宿にした。

 夕食は、オーク肉が出てきた。高いだけあって美味かった。


「明日の試験官はおそらくギルドマスターだな。どうやら帰ってきてたみたいでギルドに既にいたし、他にそれほど実力の高い者はいなかった。ちなみにレベルは58とかなり高いよ。さすがにランクSだな。」

 部屋に入ってレティと話す。

「ロバート様・・・。」

 なんか残念な人を見る目になってる。お前が言うな、とでも思ってるような目だ。


「レティも段々遠慮が無くなってきたよね。うん、そっちの方が嬉しいな♪」

「あ、・・・。」

 困ったような、嬉しいような、そんな表情で頬を紅くする。

 あー、もう、可愛いな!

「さあ、お風呂にいこう。」

 

 結局、可愛さにやられた俺は、お風呂で一戦交え、ベッドでも更に仲良くするのだった。


 

 翌朝、しばらく隣の寝顔を堪能して癒された後、軽くキスをして起き上がった。

「おはようレティ。今日は急ぐ必要ないから、ゆっくり朝食を食べよう。」

「はい、ロバート様。」



 朝食後、宿でレティと他愛ない雑談を楽しんだ後、ギルドに向かった。

「こっちはレベルと素の力では勝ってるけど、ランクSともなると、戦闘経験値、対人戦の経験も豊富だろうから、胸を借りるつもりでいこう。」

などと喋っている間に到着した。


 受付で目的を伝え、地下にある訓練所に案内された。他に人がいないので聞いてみると、試験の時は関係者以外は立入禁止とのこと。他の冒険者にむやみに手の内をさらさないためらしい。


 この場にいるのは、我々2人と無愛想、そしてエルフ女性(ギルマスと知っているが)の4名だ。


 ギルマスが話しかける。

「ようこそ。私が今日の試験官よ。今は名前は関係無いので後程。

 早速だけど、試験は私との模擬戦。武器のみそちらに並んでいる殺傷力の弱いものから選んでね。魔法、魔導具は使用できるけど、試験官を殺したら失格ね。威力を調整するのも能力の内よ。

 別に私に勝てなくても技量を見て判定するからそこはあまり気にしなくてもいいわ。

 質問が無ければ始めましょう。1人ずつでも2人同時でもいいわよ。」


 折角だから1人ずつ訓練してもらおうか。

「では、1人ずつでお願いします。」

 レティが片手剣を掴んで前に出た。刃が潰してある。

 それに合わせて俺は訓練所の隅に移動する。


「では、始めるわよ。」

 レティは動かずに相手を見ている。

 ギルマスは、エルフだけあって、魔法も高レベルで使え、魔法耐性も高い。近接戦闘は、速度重視タイプのようだが、レティの方がかなり速いだろう。あとは遠距離の弓が多少厄介かな。まあ、ブレスレットがあるからほぼ相手の攻撃は無効なんだが、それに甘えないよう防御・回避するようレティには普段から言っている。


 まずギルマスが弓で牽制したが、レティが一振りしてその剣圧で全て矢を弾く。

「まあ、そうじゃないとねっ!ハァーーー。」

 ギルマスが特に驚きもせず、一気に動き距離を詰める。

 ガキィッ!と音がして、正面から急な横移動で消えたようにレティの右側に移動したギルマスの剣をレティが受ける。

「なっ!しかしっ。」

 ギルマスは受けられると思ってなかったのか驚きの声を発したが、すぐに連撃に切り替えた。


 キンッ、キンッ、キンッ、キンッ、キンッ、何度も連撃を試みるが、レティは冷静に全て余裕を持って弾く。

「くっ!これほどかっ!」

 ギルマスがバックステップで、2歩程度の距離をとり、

「火球ー」

 と火魔法を至近距離で放つ。かなり威力が高く火炎が広がる。

「しまった!やり過ぎた。」


 ギルマスが焦って動きが止まった瞬間、単純なスピードで魔法を回避して、既に後ろに回り込んでいたレティが足払いから引き倒し、剣を持ったギルマスの腕を膝で下敷きにし、首筋に剣を当てる。

「い、いつの間に!?」

 ギルマスが何をされたか分からないといった驚愕の表情を浮かべ、ハッとしたように、

「文句なく合格だ。」

とレティに告げた。


 レティは、魔法は全く使わず、剣技もほぼ使わず倒し、ほぼ手の内を見せなかった。俺はどうしようか。バランス的に魔法だけにするかな。


「では、次!」

 呼ばれたので、前に出る。一応、形だけでも杖を選んだ。要らないけどね。


「では、始める。」

 今度は、開始と同時に距離を詰める。杖を選んだから魔術師と想定したんだろう。まあ、魔術師として振舞うけど。

 土魔法≪土柱≫を使い、訓練所の地面から上に向けて先端の尖った土の柱を次々と発生させ進路を妨害する。

 至近距離に次々と発生する為、回避が間に合わずやむを得ず剣で切り飛ばす為、ギルマスの動きが止まる。

 すかさず≪麻痺≫を放つ。魔法耐性が高いため、魔力をかなり多くこめて効果を出す。

「グゥゥーー。」

 そのまま近寄って、動けないギルマスの剣を奪い、首筋に当てる。

 ≪麻痺≫でまともに喋れないので、解除した。

 土魔法≪整地≫で、地面を元通りにした。


「ふ~っ。合格よ。魔法耐性が高いから普通は掛からないんだけど。」

 

「「ありがとうこざいました。」」

とレティと共に挨拶し、試験が終わった。


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