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19.集落再び

 流石にポーションくらいは準備していたようで、重傷者の手当てを終え、お嬢様も向こうの木陰で着替えをしてきたようだ。

「私達だけでも対応はできましたが、結果的に助けられた形ですから、一応お礼申し上げますわ。私は、ダンドリー伯爵の娘で、カレンと申します。」

 いや、対応できるなら漏らさないでしょ!


「そうですか、それではこれで。」

と、俺達は出発しようとし、

「我々もこれで。」

と、ダン達も出発しようとした。

 当然、3頭分の魔法石は、ダンが回収している。


「待て待て待て!」

と護衛が慌てて呼び止める。

 まだ何か用なのか?と全員がうんざりした顔で振り返る。


「我々は、これからダンジョンから出るが、やはり魔法職がいないと、この階層はまずいと気が付いた。そこでお前たちに護衛を任せよう。さっきの透明な壁は魔物も防げるのだろう?勿論報酬は出す。」

「「お断りです。」」

 揃って即答だ。冗談じゃない。ただ、会って間もないが、ダンとは気が合いそうだ。


「何故ですの?報酬も出しますし、伯爵家と縁もできますのよ。」

「いや、‘なすりつけ’する輩と一緒には行動したくないだけだ。ギルド証剥奪されるようなことやらかしておいて、あんた達、一言の謝罪もないぞ。だいたい[ハゲで、腹も出て、全身臭そうで、おまけに息も臭そうな不潔極まりないオジサン]なんかに護衛を頼むなよ。」

と、ダンが説明する。根に持ってるなぁと思いつつ俺も横で頷く。


「くっ!」

 おお、くっ!って言ったぞ。まあいい、今度こそ出発だ。

「「それでは、今度こそこれで。」」

 まあ、今現在ここから安全地帯までは、大した魔物はいないし、彼らだけで大丈夫でしょ。

 また何か言われないうちにとっと出発した。


 

 ダン達とも別れて、どんどん駆ける。23階層へ進む直前に、≪探知≫を広げて確認すると、どうやらお嬢様達も安全地帯に無事たどり着けたようだ。同行は素気無く断ったけど多少は気にしてた。


 23階層も順調に進むが、ん、この集団は・・・、

「レティ!ミノタウロスの集落だ!!上位種のボスは見当たらないけど、変異種がいる。ここを狩ったら、近くで野営しよう。」

「承知しました。」

 レティの目も輝く。


 《結界》で集落を囲んで、≪窒息≫で一気に仕留め、収納して回った。

 変異種が持っていた斧をよく見るとオリハルコンで出来ていた。オリハルコンはミスリルより更に希少で硬いとされる金属だ。斧の大きさは、刃の部分が60cm、柄を合わせた全長が150cmもあり、レティに見せながら、手に取らせる。

「レティ、この斧使ってみる?」

「いいのですか?」

と言いながら、ブンブンと片手で軽々と振ってみせる。

「凄く使いやすそうです。手にもフィットしていい感じです。」

「じゃあ、使うといいよ。レア武器だし後で、強靭さと切れ味の強化、使用者固定を≪付与≫しよう。」

 もちろん、ちゃんと収納しておく。


 集落の近くに場所を探して小屋を出し、野営する。

 夕食は、狩った肉と、外で買ってきたパン、野菜をとる。

 肉を食べてるレティの顔も俺の癒しだ。

 食事の後は、斧に≪付与≫して、念の為、使用者固定に俺も含めた。

「フフフ、ロバート様と共用の武器・・・。」

 な~んか、たまに妖艶な顔になるんだよね。

 2人でお風呂に入り、就寝した。


「レティ!やっぱり集落が復活してる。あ、でも変異種はいない。武器と一緒でレアなのかな。まあいいや。朝食を取ったら狩ろう。」

「はい!」


 昨日と同じく、殲滅して収納。

 前のオーク集落の階層と共に覚えておこう。

 レティのレベルも70を超えた。

 再び、駆ける。

 

 24、25階層で1泊。

 26、27階層で1泊。

 28、29階層で1泊。

 魔物はもちろん、薬草や鉱物なども採集しているので、他人のペースは知らないが、俺達的にはゆっくり進んでいる。


 ・・・どうせ30階層だと予想していたボス部屋が29階層にあった。

 ボス部屋に入ると、ミノタウロスが10頭と変異種が1頭いた。変異種が断然強い。ボス部屋のリーダーかな。

「レティ、今回は≪窒息≫≪麻痺≫無しで、2人で倒そう!」

「承知しました。」

 俺とレティは、一瞬でミノタウロスの前に移動し、それぞれ3頭の首を刎ねた。そのまま変異種以外を2頭ずつ≪風刃≫で首を飛ばした。


「変異種は任せた。」

と譲ると、レティは一気に変異種の後ろに移動し、レティを見失った変異種の後ろから首を刎ねた。

 今回も変異種は、オリハルコンの斧を持っていた。後で解体して剣でも“創造”しようかと収納しておいた。

 先に倒したミノタウロスも収納する。


「じゃあ、30階層で登録して一度戻ろうか。」

「はい。」



 ギルドに戻ってくると、例の愛想のない受付嬢がこちらを手招きしている。

 まあ、どうせ買取があるから行くけどね。


「失礼ですが、ロバート様、ダンジョン内、正確に言えば22階層で、ダンドリー伯爵のお嬢様とお会いになりましたか?」

「会ったと言えば会ったな。」

「実は、お嬢様と一緒にダンジョンに行った伯爵家の騎士様から、本日抗議が寄せられ、[ダンとかいう奴のパーティーに倒す寸前の獲物を横取りされたので、獲物分のランクBの魔法石6個を引き渡せ]と言われまして。宿でお休みのダン様のパーティーに連絡を取って来て頂き、つい先程事情を聞いたところ、ロバート様も一緒だったとのことで、事情をお聞きした・・・ひっ!!」

 レティ・・・、殺気がダダ洩れです。


「レティ落ち着いて。」

と、ローブのフードの上から頭を撫でると、殺気が霧散した。

 しかし、中々ふざけたこと言うものだ。レティが怒るもの無理はない。


「とりあえず、事情を聞きたいということでしたら、まだいるのならダンさん達とは別室にして、ダンさん達の話した内容を聞かない状態で話した方が、後ですり合わせして整合性の確認ができますよね。」

「は、はい、そ、そうですね。そ、その方がいいかと思います。」

 愛想無しの慌てっぷりが・・・。



 別室にて、ダン達と会って食事をしたところから、‘なすりつけ’含めて、誤解のないように説明した。

「ダン様の説明と全て一致しておりますので、信用できるお話だと判断できると思います。ただ・・・。」

と、受付嬢と一緒に話を聞いて記録をとっていたギルド職員が暗い表情をする。


「そもそも、ギルドはこの程度の冒険者同士の争いには関知しないのでは?」

と疑問に思って聞くと、

「何せ相手が伯爵家なもので。独立組織のギルドとは言え、領主様相手だと門前払いもできず・・・。」

と歯切れが悪い。


「え~と、この抗議は、伯爵様やお嬢様は承知されているんですかね?騎士の独断の可能性はないんですか?騎士はギルド内にいるんですか?」

「いえ、伯爵様やお嬢様の抗議とは言われていません。騎士様は既に出て行かれています。」


「まあ、とりあえずダンさん達と話しましょうかね。もう聞きとりは終わったし問題ないですよね。」

 ダン達がどこまでやっていいと思っているかで対応が変わるしね。



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