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17.ギルド

主人公視点に戻ります。

 ダンジョンから出ると、門番の男と目が合った。

「おう、無事に戻ってきたか。初めて入ってそれっきりという奴も多いからな。よかったぜ。」

 なかなか気さくな男だな。まあ、嫌いじゃないが。

「ありがとう。久しぶりに宿でゆっくり休むよ。」

「ああ、それがいい。自覚が無くても疲れは溜まるからな。」

「そうだな。じゃあ。」

と、ギルドに向けて歩いた。



 ギルドに入ると、掲示板で依頼を確認した。魔物や薬草の素材に関しては、ダンジョンで比較的集まりやすいため、常時依頼としてギルドが纏めて買取し、管理しているようだ。

 魔法石は、依頼ですらなく、ただの買取換金処理だけか。

 宝箱などから出てくるアイテムに関しての通常依頼が並んでいるが、そういえば宝箱は見てないな。まあ、狙って取得できるものではないから、結局事後処理にするのかな。

 

 今回得た素材は、常時依頼のものが多いので、受付に行って処理を頼む。

「お疲れ様です。どのような素材がありますか?」

「結構場所を取るから、解体場で直接出した方がいいと思うのだが。」

と例によってダミーのバッグを指差しながら伝える。


「本当ですか?」

 疑わし気な目で、何を言ってるのか、という感じが伝わってくる。結構失礼だな。

「ああ、森狼、トレント、オーガ、トロールあたりだな。」

「ふ~っ、何階層まで行かれたのですか?ギルド証を見せてください。」

 呆れたように受け取ったギルド証を確認する。

「えっ、ランクEで21階層到達・・・。」

と、呆気にとられて呟いている。大声出されなくて良かった。

 仕組みは不明だが、ギルド証で到達階層が分かるんだな。


「分かりました。こちらへどうぞ。」

と、ようやく納得したのか、解体場に先導して解体責任者に伝えてくれた。

「私は受付に戻りますので、引渡証を受け取って、受付に再度来てください。」

 受付嬢は戻っていった。侮るような目つきではなくなったが、愛想がないな。


「それじゃあ、素材はどこだ?出してくれ。」

「ああ、すまん。」

と言って、全部は大騒ぎになりそうなので、一部を取り出す。

 食肉素材は出さない。俺たちが食う。

「おお、すげぇ収納量だなそのバッグ。オーガやトロールもどうやってこんな綺麗に倒したんだ?」

「まあ、それは個人情報ってやつで。」

 そりゃ驚かれるか。


 森狼   × 30 × 5000ゴルド

 トレント × 35 × 7000ゴルド

 オーガ  × 30 ×40000ゴルド 

 トロール × 20 ×50000ゴルド

 角猪の角 × 30 × 2000ゴルド

 

 査定を見ると、巨体の魔物丸ごとってのは高いみたいだな。最初から全部出さなくて良かった。


 引渡証を受け取り、受付に行く。

「素材買取と、常時依頼の報酬を含め、345万ゴルドとなります。大金貨3枚、金貨4枚、大銀貨5枚となります。お確かめ下さい。」

と、小さめの声で応対してくれる。愛想は無くても、その辺は気遣いがあるんだな。

「なお、依頼件数とランクCの魔物討伐数により、お2人のランクがCへと上がります。ギルド証更新のためお預かりします。」

 おお、Dを飛ばしたのか。控えめにしたつもりだったが、出した魔物の数が多かったか。


「ありがとう。」

 処理が終わり、お金と新しいギルド証を収納し、ギルドを出ようとした、その時-


「なんだとーっ!」

 併設の食堂から怒声が聞こえた。

「俺は、ちょっと一杯どうだって声かけただけじゃねえか。なんでそこまで言われなきゃいけねえんだ!?」

 体格のいい冒険者が、女性冒険者?に向けて怒鳴っていた。なかなか貫禄のあるおっさんだ。

 女性は、銀の鎧を纏った騎士風の出で立ちをしていた。20歳を超えた感じの切れ長の目をした美しい女性で、長い金髪が目を引く。女性の後ろに、同じような騎士風の男性が3人ほど控えている。それなりの使い手で、いつでも女性を庇える様に身構えている。


「そこまでと言っても、私はただ、[何故あなたのようなハゲで、腹も出て、全身臭そうで、おまけに息も臭そうな不潔極まりないオジサンの相手をしなければならないの?一体何様のつもりなの?]とお尋ねしただけでしょう。」

「いやいやいや、‘だけ’じゃないだろ!!それと、俺をけなす言葉が増えてるじゃねえか!だいたいオジサンじゃねぇ。まだ21だ。」

((((え~っ!!))))

 なんか、ギルド中から突っ込みが聞こえたかのようだ。


「そうは言っても、私は正直に言っただけですわ。言いたいことも言えない世の中なんてねぇ・・・。」

「いや待て!そんないいこと言った感じにすんな!ただ人を見た目で貶しただけだろうが!」

「「「ブブッー」」」

 周りも吹き出しているし、なんか面白い掛け合いになってきたが、巻き込まれても困るからとっと出よう。

「レティ、行くよ。」

と、とっととギルドを後にした。


 その後、適当に肉以外の食材をそこそこ大量に買い込み、適当な宿を探した。いつも風呂付の高い宿にばかり泊まって目立ちたくないしな。それに小屋を出したらいつでも風呂に浸かれるし。野宿の方が快適だな。


 結局、1泊2食付き、2人で15000ゴルドの宿に入った。

 夕食をとって、部屋に入る。

「これだけの肉食材が取れるダンジョンなのに、宿の食事の肉は大したことなかったな。数日狩った肉を食って舌が肥えたかな。」

「正直言うと、私もロバート様と同じ感想です。ほんの10日くらい前には、干し肉すら食べれない境遇でしたので、本当に感謝しかありません。」

「じゃあ、明日からさらに下層に進んで、いい肉を狩っていくか。」

「はい。」

 レティの目も輝く。

 

 まだ、時間も遅くないので、ダンジョンで採取した薬草を使って、エリクサーの“創造”に挑戦した。エリクサーは、希少な万能薬で死んでなければ欠損すら治すと言われている。作り出すことは困難であるとされ、ダンジョンからたまに発見されるものが高値で取引されている。

 とはいえ、俺のスキルなら“創造”できると分かっている。

 そして結果・・・、出来た。鑑定で見ても間違いない。とりあえず、10本“創造”して収納した。

「エ、エリクサーが10本・・・ですか・・・。」

 レティの顔がまたひきつっている。


「じゃあ、寝よう。風呂は無いから、≪浄化≫ね。」

 その後、≪結界≫を張り、自分に≪避妊≫を掛ける。

 レティが頬を染めているが、気にせず、

「おいで、レティ。」

と誘い、2人でベッドに入った。


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