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13.ダンジョン都市

 ギルドで話を聞いた後、宿の食堂で夕食を取りながらレティと話す。

「明日からだけど、話を聞いたダンジョンに入ってみようと思ってる。問題あるかな?」

「いえ、事前準備をしっかり整えた方がいいとは思いますが。」

「そうだね、鎧のこともあったし、部屋に戻って準備しよう。」


 部屋に戻った俺は、早速作業にかかった。

 まずは、レティの鎧を、鎧熊の毛皮を素材に“創造”した。肩からお腹、背中を覆うタイプで、手甲と足鎧も作った。薄いため軽く、動きも阻害しないだろう。


「レティ、サイズを合わせてみてくれる?」

 レティがいそいそと服の上から着用する。

「ぴったりです。それに、動きを邪魔しないのであまり着ていることを意識しないで済みそうです。」


「よかった。じゃあ、どんどん準備していくか。」

 レティの片手剣に、俺のと同じく、強靭さと切れ味の強化を≪付与≫した。

 今日買ったレティ用のローブには、風魔法で自動温度調節する機能を≪付与≫した。

 同じく今日買ったポーチには、異空間収納を≪付与≫して時間経過無しのマジックバッグにしてみた。容量は、10m×10m×10mくらいになった。俺の方がほぼ無制限に入るからこれでいいだろう。異空間収納については、俺のバッグがダミーであることも含めてレティに説明した。

 また、安全対策として、ブレスレット2つを“創造”して、対状態異常絶対防御、対攻撃魔法完全無効、対物理攻撃反射、使用者固定、を≪付与≫した。


 レティにそれぞれの効果を説明しながら渡す。

「もう驚かないと決めたのに・・・。」

とブツブツ呟きながら受けとる。


「ブレスレットは、2人お揃いにしたよ。ポーチと一緒に使用者をレティだけに制限するから、血を1滴ずつ垂らして。」

 それぞれ血を垂らして登録をした。

 よし、装備に関しては、これで終わったかな。


 そうだ、あれを作ろう。収納している賊から押収したミスリルの鎧を≪解体≫して、全部ミスリルのインゴットにした。それを少し素材として、日本の記憶にある長毛種用のブラシを“創造”した。


「レティ、いいものがあるんだけど、ちょっとベッドに横になってくれない。」

 一瞬、ビクッと表情が強張るそぶりを見せたが、素直にうつ伏せで寝ころんだ。

「じゃあ、尻尾をブラッシングするよ。」

 早速作ったブラシを使ってみる。すごくブラシの通りがいい。いい出来だと自画自賛しながらブラッシングする。

「ああ、すごくリラックスできる心地よさです~。」

と、体の力が抜けた感じで蕩けている。耳がピクピク動いている。


 しばらく気分よくブラッシングを堪能していると、静かな寝息が聞こえてきた。

 昨日は、俺が調子に乗って疲れさせたし、今日はこのまま寝させておこう。

 ≪浄化≫をかけて、布団を掛けてあげた。

 俺は、ゆっくり風呂に浸かり、大人しく寝たのだった。



 翌日、宿を発って〈草原のダンジョン〉に挑む為、その門前町へ向かって出発した。

 朝出発したので、昼前にはダンジョンの街についた。やはり人の往来が多いせいか、ひらけた街道沿いには魔物はいなかった。町というより都市に近いな。冒険者が多いからか、その為の宿、武器屋、道具屋、食堂、露店、鍛冶屋等々、様々な店が並んでいる。

 とりあえず冒険者ギルドへ行く。


「ここには初めて来たんだが、ダンジョンに入るのに何か制約はあるか?」

と、ギルドの受付で尋ねる。

「特にありません。入り口でギルド証をご提示ください。」

「中で野営して、しばらく入りっぱなしっていうのは問題ある?」

「入って消息不明になる方も多いので、あまりに長いと死亡扱いされる可能性もありますね。勿論、戻られれば、死亡も取り消されます。」

「分かった。ありがとう。」



「さて、付与で安全対策はしたものの、やはりレベル上げが必要だな。」

と、レティの手を握り、≪共有≫の魔法を使い、取得経験値の2分割と、俺の脳内で見ている“地図”をレティの頭の中でも見れるようにした。

「どう?“地図”で色々と認識できてる?」

「す、すごいです!これがあれば、迷いませんし、時間が有効に使えますね。」

と、興奮しながら言う。

 よし、大丈夫そうだ。ダンジョンに向かうぞ。


 ダンジョンの入口で、入場する冒険者の列にしばらく並び、門番風の男にギルド証を提示する。

「2人で入るのか?若い冒険者は無理しがちだから、危ないと思ったら一旦引くのも大事だぞ。」

「ああ、忠告ありがとう。」

 入口を通過すると、冒険者が次々と水晶に手を触れ、登録済みの別の階層に飛んでいるようだ。

 

「よし、行こう。とりあえず、10階層くらいまでは魔物も弱いだろうから、進むことを優先しよう。“地図”を使えば、下に行く階段もすぐ分かるし。」

 “地図”を確認すると、半径1kmで網羅出来ていない。なかなか広いみたいだ。1階層は半径5kmくらい≪探知≫を広げて、ようやく下に行く階段の位置が判明した。


「レティは、≪身体強化≫は使えるよね。」

「はい。獣人は身体能力を上げることを優先するので、小さいことから使う訓練をします。」

「よし、じゃあ、≪身体強化≫して、一気に走っていこう。」

「分かりました。」


 俺たちは、一気に走って進んだ。途中、スライム、ゴブリン、コボルト等と遭遇するが、素材が売れるものが無いので、基本無視して走り抜ける。


 2階層、3階層と進むと、森狼や木に擬態した魔物のトレントなどが出てきたので、すれ違いざま倒し、収納する。

「ロバート様、私のレベルが上がっていくのですが・・・。」

「ああ、俺の取得経験値を半分分けてるからね。俺の“経験値取得100倍”スキルで取得経験値が大幅に増えているから、レベルの上りも早いよ。」

「はあ。やっぱり規格外です・・・。」


 5階層で、初めてボス部屋に入った。ランクDのゴブリンロードだったが、レベル36まで上がったレティの敵ではなく、一刀両断された。素材としてはイマイチなので、少し待って、魔法石になってから回収した。


 6階層、7階層と進み、8階層の安全地帯で水晶に登録した後、周りを見ると、冒険者が何パーティーか、野営の準備をしている。毎日ダンジョンから戻って宿に泊まるほどの余裕はないのだろうか。そう考えると、盗賊の討伐で、財産押収するのは、結構効率いいのでは?


「レティ、疲れはどう?まだいけそう?俺としては、他の冒険者のいるところでの野営は避けたい。」

「私は大丈夫です。ロバート様の判断に従います。」

「よし、じゃあ、8階層の半ばまで進んで野営だな。」


 6、7階層と同様に、角猪、オークなど、食肉素材を(主にレティが)嬉々として狩りながら適当な場所を探す。

 樹の陰で、小屋を出せそうなスペースがあったので、小屋を出した。≪認識阻害≫と≪結界≫を掛ける。“地図”で魔物の接近も分かるから、安全地帯でなくても問題ない。むしろ、他の冒険者の見ているところで下手に能力を晒したくない。

 ついでに、付近に良い薬草があったので、収納しておいた。


「折角だから、今日狩った角猪の肉にする?」

「はいっ!肉にしましょう。」

 小屋内の調理場に肉と金網と炭を取り出す。

「じゃあ、肉を焼いてくれる?俺は、小屋に風呂を付け足すから。」

「承知しました。」

 風呂は2人で一緒に余裕で入れる大きさにしておくよ。勿論。


 焼いて調味料を振った肉をたらふく食べ、2人でお風呂に浸かり、寝た。

 さすがにダンジョン内ではねぇ。ってことで、しれっとダブルに作り替えたベッドで、大人しく抱き合っただけで寝たよ。



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