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10.街

主人公視点に戻ります。

 盗賊から頂戴したので、手持ちのお金は潤沢になった。一応、王都を出る前に父上に渡された50万ゴルドはあったが、使わなくて済みそうだ。これまでは直接お金を使う機会が無かったので、出発前に貨幣価値について確認しておいた。


 銅貨・・・   10ゴルド

 大銅貨・・・ 100ゴルド

 銀貨・・・ 1000ゴルド

 大銀貨・・・  1万ゴルド

 金貨・・・  10万ゴルド

 大金貨・・・100万ゴルド

 白金貨・・1000万ゴルド

 碧金貨・・・  1億ゴルド


 凡そ、平民一家庭の月の収入が10万ゴルドくらいらしい。食堂で1回食事をすると、300~800ゴルドといったところで、安宿が、夕食朝食付きで4000ゴルド程度らしい。

 所謂、亜人と称される獣人、ドワーフ、エルフ等は、チェスター王国内では特に珍しくもなく、差別的な扱いも受けてはいない。レティも街には度々出かけていたようで、お金の知識は問題なさそうだ。


 森の中を進んでいると、地図に大きめの魔物の反応があった。

「レティ、進行方向先900mに鎧熊がいる。戦ったことはあるか?」

「分かるのですか!?・・・いえ、もう驚かないことにします。鎧熊といえば、集落の者達が総出で倒したことはありますが、こちらもかなりの被害が出ました。いかにご主、、ロバート様といえども危険ではないでしょうか?」


「どうしようか。俺の中では負ける気はしないし、戦闘経験も増やしたい。進行方向だし、無理なら逃げるってことでどう?」

「では、いざというときには私の身を囮に使いますので、必ずお逃げください。」

「多分大丈夫だよ。でも、簡単に命を捨てること考えないで。どんな時でも生き残ることを考えて。」

「承知いたしました。」



 おお、目の前にすると異常にデカい。ではミスリルの剣の付与効果と、“全格闘術(極)”スキルの確認をしようか。

 鎧熊は、こちらをハッキリと敵として認識して、グルグルと喉を鳴らして威嚇している。この肉体でも俊敏性は高いだろうから油断はできない。

「レティは、まずは警戒だけして見てて。俺が様子見してみる。」

と、一声かけた後、一気に鎧熊の目の前に移動し、剣を一閃する。

 スパッと、剣が素通りしたかのように通過し、鎧熊の首が切り離された。


「「えっ!!」」

 俺と、レティの声が重なった。様子見の一撃だったが、これでは剣の力か、スキルの力か分かんないぞ。

 ズドォーンと胴体が倒れる。

「えーと、このままギルドに買取依頼すると下手に注目されるかな?」

「ふーっ、本当にロバート様は規格外だったのですね。単独で討伐且つこの切断面ですので、無駄に注目されますね。」


「じゃあ、しばらく収納して放置かな。もしくは解体して、食べる?」

「じゅるっ、はぅっ、オホン、以前食べた時は、肉は非常に美味しかったです。」

と、思わず舌なめずりしてしまって、恥ずかしそうに顔を朱に染めながら言う。

 やべー、かわいい。


「では解体して昼飯にするか。」

 ≪解体≫魔法で解体すると、綺麗に素材ごとに分かれた。血(瓶入り)・骨・内臓は、薬の素材となり、毛皮は、服や鎧の素材となるので収納する。体が大きいだけあって、肉は2人ではすぐに食べきれないほどの量が取れた。

「ええ、もう驚きませんとも・・・、多分。」

 レティがヒクヒクと頬を引きつらせながらブツブツ呟いている。


 土から竈を創造し、賊から押収した鉄剣を素材に金網と焼き串を創造して、昼食用に肉を焼く。

 魔物を呼び寄せないように、臭い拡散防止に結界を張る。


「さあ、食べよう。」

 肉汁の滴る肉を、串に刺さったままかじりつく。おおおおっ!美味い!これは脂も多すぎず、しつこくないけれど旨味が凄い。レティを見ると、一心不乱にガツガツ食べている。綺麗な顔とのギャップが激しい。俺の視線に気が付いたのか、顔を朱くして食べるペースが落ちた。

「いや、気持ちよく食べてるなぁと思っただけだからそんな恥ずかしがらなくても。」

「すみません。あまりにも美味しくて。」

「これから色々なところに行って、様々な食べ物に巡り合えると思うと期待に胸が膨らむね。レティも一緒に食べるんだから、今すぐとは言わないけど、さっきみたいな感じで素を出してくれると嬉しいかな。」

「わ、分かりました。」



 その後、南方面の街を目指して森の中の道を歩き、夜は小屋を出して野営をし、2日でアーセという街に着いた。道中たまに魔物に遭遇し、ランクDの角猪も肉が美味とのことなので、解体して収納。ランクEの森狼は、単独討伐でも怪しまれないだろうとのことで、換金予定。

 

 門番に、冒険者ギルド証を見せ、レティについては身分証が無いが、連れということで、入場料2000ゴルドを支払って街に入った。

 まずは、レティのギルド登録をする為、冒険者ギルドへ向かう。レティの美貌が目を引く可能性が高いので、俺のローブを貸して顔を隠した。

 

 ギルドに入ると何人かの視線を受けるが、夕暮れ時で依頼達成報告にくる冒険者も多い時間帯なので、それ程注目されていないようだ。そのまま受付に進み、自分のギルド証を示しながら、

「連れの冒険者登録を頼む。」

「では、この記入用紙に・・・」

と、俺の時とほぼ同様に手続きを進めた結果、レベルと魔力量のおかげでランクEのギルド証が発行された。


「あと、魔物の買取を頼む。」

「何をお持ちですか?」

「ちょっとここで出すと邪魔になりそうなんだが。」

と若干小声で言いながら、ダミーのバッグを指さす。

「承知しました、では、この裏の解体場でお願いします。」

と、こちらの意図を察してくれた受付嬢が案内してくれる。


 ドサッと10頭の森狼を解体場に並べる。こちらに歩いて近寄ってきた厳つい解体担当と話す。

「おう、兄ちゃん、毛皮が綺麗な状態で仕留めてるな。素材全て引き取りでいいのか?」

「ああ、全て引き取りで。」

「じゃあ、ちょっと査定を上げて、1頭6000ゴルドで、計60000ゴルドだな。

「それでOKだ。」

「では、受付でお支払い手続きしますので、こちらへ。」

 受付嬢の誘導に従い受付に戻ると、

「素材採集の依頼で、先ほどの森狼の毛皮というものがありまして、その受注手続きをされれば、即完了という形で、先ほどの買取料金に依頼量が加算され、達成依頼件数も加算されますがどうされますか?」

 おっと、意外に融通が利くんだな。もちろん、

「では、受注即完了の流れでよろしく。」

「承知しました。・・・はい、これで依頼達成です。」

と、依頼料10000ゴルド加算され、70000ゴルドを受け取る。

「ありがとうございました。またよろしくお願いいたします。」

 受付嬢に見送られ、ギルドを後にした。

 

 まだ時間に余裕があるので、レティの服を買うために服屋へ向かう。

「いらっしゃいませ。」

 20代後半くらいのおしゃれな女店員が出てくる。

「彼女の服を適当に見繕ってくれ。冒険者なので、冒険用と普段使い用だ。冒険者用は、露出が少ない丈夫で動きやすいものを。下着も幾つか含めてこれで頼む。」

と、金貨を2枚、20万ゴルドを渡す。そして小声で、

「メイド服があればこっそり紛れ込ませておいてくれ。」

 なんといっても男のロマンだからな。

 店員が一瞬目を丸くしながら、クスクスと笑う。

「承知しました。」



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