表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星となる彼女  作者: violet
1/2

1

 昔はもっと星が沢山見れたと人は言う。それでも灰色の雲に隠れながら、オリオン座の星々は公園に居る三人をひっそりと照らす。


 冷たい風が通り過ぎて女性の黒い髪が靡く。彼女は自身の真の姿を誤魔化す為に偽物の髪を抑えた。


 彼女の事情を知っている二人は、その仕草に心が痛み、涙を零した。


「タケル、もう宿題は見せてあげられないんだから、自分でしっかりとやるんだよ」

「分かってるよ」


 タケルは握り拳を解くと、涙を拭って返事をした。幼稚園の頃から変わらない負けん気を見て、女性は安心したように笑う。


「サトシ、もうタケルだけになっちゃうんだから、早く友達を作りなさい」

「うん、頑張る。だから心配しないで」


 目元を真っ赤にしてサトシは返事をした。彼は昔から優しい人だったと、彼女は思い出した。


 彼女から白い息が漏れる。冷たい風が彼女の体温を徐々に奪っている様だ。


「ユキ、身体に触るから戻ろう」


 サトシはそう言ってユキが座る車椅子を動かした。


 しまい忘れたクリスマスの飾りが夜道を彩っていた。タケルはその飾りを見るとそわそわして、やがて口を開く。


「ユキ、あのさ」


 タケルらしくない、どことなく弱々しい様子にユキとサトシは不思議そうに彼を見た。


「これで最後だから言うよ。俺はユキのことが好きだ」


 その言葉はユキの心を震わせ、白い息を桃色に染めた。


 一方でサトシはタケルの思いもよらぬ言葉に、焦ってしまう。何か行動に移さなければと思って彼は急いで口を開く。


「ず、ずるい!僕だってユキのことが大好きだ!」


 立て続けに愛の告白受けて、ユキは心の整理が追い付かない。やがて恥ずかしさと嬉しさで顔を真っ赤にしてしまう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ