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エメラニア王国の三姉妹のその後です。

どうしても男子をメインに出したくて書きます


 あたりに聞こえるのは波の音。

 静まった夜中の浜辺。

 いつもの場所で倒れた丸太に腰掛けた少年は、夏の夜の晴れた空を仰いだ。


「星が綺麗だな…。」


 …

 ムライソン帝国。

 エメラニア王国と隣に位置する小さな島国で、その初代皇帝がその代のエメラニア王国国王の助けを受けて、その集落からムライソン帝国を作り上げたことから、その後も交流が盛んに行われている。

 しかし、第18代皇帝エドワースの代あたりからムライソンの皇帝はだんだんと権力を無くしていき、政治は、国民の定めた政治家が、国の治安維持も国民が民主的に行うようになった。

 ムライソン皇帝はいつしか存在を忘れ去られ、国民達は、《ムライソン共和国》と名乗るようになった。



『お前、いつんなったら皇帝辞めるんだよ。』

 第一皇子カミル・ムランス、10歳のこと。

 彼は、寝起きでぼさぼさの金髪をかき混ぜながら気怠そうにそう言った。

 それに対してカミルの父親、第42代皇帝エルセオは、考えることもなくきつい目つきでカミルを睨み返した。

『カミル。仮にも父親に向かってお前はないだろう。教育をやり直した方が良さそうだな。』

『そんな必要はねーよ。お前がさっさと死んで俺が皇帝を継げば、こんなかったるい共和制市民国家なんてぶっ潰して、俺がこの国を支配してやるんだからよ!』

 エルセオは、親指をぐっと下に突き出したカミルを数秒黙って見つめると、目をそらしてから吐き出すように呟いた。

『…この糞ガキが、、』


 カミル・ムランス。この小さな少年が、後にこの国を覆す革命の皇帝と呼ばれる事になる。

 だか、それはまだ誰にも知る由はなかった。


 ……

「お姉ちゃん、まだ?」

 メルガは読んでいた書物から顔を上げて辺りを見回した。

 小さな船の上、ステアは双眼鏡を両目に当て、必死で海の彼方へ目を凝らしている。

「…そうよね。まだなの?ステア。」

 甲板に腰掛けていたティーフィーは、長い亜麻色の髪をかき分けながら、隣に立つステアを見上げた。

「ええ…もうとっくに着いてるはずなんですが。」

 ステアは双眼鏡を離して首を傾げてみせた。

「おかしいわね。方向間違えたかしら。」

「方角なら姉様の指示通りに進んできましたけど…。」

 ステアの言葉を聞いて、ティーフィーは手元の方位磁針に目を移した。方位磁針の針はどこを指すでもなくぐるぐると揺れに煽られて動いている。

「「………」」

「…姉様。これはどう読み取ったんですか?」

「…ごめんなさい。テキトーでした。。」

「姉様!」

「わー、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。」

 双眼鏡を振り回すステアに、ティーフィーは逃げながらひたすら謝る言葉を繰り返していた。


「あのさー。で、どうするの?」

 メルガが書物を置いて立ち上がると途端にティーフィーの手から壊れた方位磁針が飛んできて足元に転がった。

「ステアが操縦は任せてとか言ったんでしょー!」

「進む方向は姉様に任せました!」

 メルガは方位磁針を拾うと、姉達に向かって叫び返した。

「おーい!ふ、た、り、ともー!!」

 するとステアはティーフィーと言い合いながらメルガに近づいて、こう言った。

「大体、エドソントニアに戻った途端にムライソンに行きたいと言ったのはメルガなんですし…。」

「なっ」

「、、だ、だって、お兄ちゃんが育った(?)ところなんだよ!行ってみたいじゃん。」

 メルガもムキになって言い返すと、ティーフィーとステアは顔を見合わせて、数秒後、同時にため息をついた。

「何言ったってこの状況は変わんないのよね…。」

「…そうですね。少しイライラしていて、、すみません。」

「あ!!」

「「?」」

 メルガのあげた声にティーフィーとステアが振り向くと、指された指の先に小さな島が浮かんでいた。

「島だよ!お姉ちゃんたち!」

「ホントだー♪」

「助かりました…。とりあえずそこまで行ってみましょうか。」



 沖の方が騒がしいな…?

 少年はいじっていた植物を蹴散らして腰を上げた。



「…人、いるのかしら。」

 ティーフィーは、砂浜と森で覆われた無人島らしき光景に戸惑いを隠せなかった。

「微妙ですね。…集落がある訳ではないようです。居ても1人か、2人か、3人か…」

 ステアは少し周辺を歩きながら、まとまらない考えを曖昧な表現で表そうとしていた。メルガは足元に咲く花を興味深そうに見つめている。

 そもそも、エメラニアにはそれほど植物は見られない。まるで初めてのものを楽しむようにメルガの目は輝いていた。あるいは、実際呑気に楽しんでいるのかもしれないが。


「お前ら、誰だよ?」

 不意にぶっきらぼうな少年の声が響いた。

「国の奴らじゃないよな。」

 そう言って木の陰から出てきた少年は、16歳のティーフィーより少し高いくらいの背、肌は、この島に居たとは思えないような色白で、濃いめの金髪が太陽の光を受けてキラリと輝いていた。そしてその目つきはなかなかに鋭く、深緑色の変わった衣服を身につけている。


 ティーフィーたち3人が思わずその風貌に見とれていると、少年はチッと舌打ちをしてもう一度、今度は吐き捨てるようにこう言った。

「…お前ら誰だよ」


読んでいただきありがとうございます

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