虚無の世界
これはただの思いつきでございます
余り深く考え込まないで下さると助かります
これはとてもとても昔の過去のお話
神は様々な命あるものと仲良く暮らしていました
願い事を聴き
必要な知恵を分け与えました
その知恵は繁栄をもたらし幸福を招きました
それと同時に不幸も招きました
沢山の命には個性があり
それぞれ考え方が違ったのです
知恵のみではなく力も欲しい……と
神は頷きました、自己防衛が芽生えたのだと
絶対安全と言う保証はどこにも無いからです
次々とお願い事を叶えてくれる神は気が付かなかったのです
みんながみんな平和を望んで居ると思っていたのです
しかし命あるもの、特に知恵のまわるものは思ってしまったのです
もっと知恵が欲しい……楽をしたいと
遅かれ早かれ知恵を得た者達は大きくても、小さくても、欲というものが芽生えてしまったのです
お互いを値踏みしあい、次第に神の元を離れていき、自分達だけが住める世界にするべく野に駆けて国と言うものを作って行きます
神は寂しく思うも全員が消え去ったわけではなかったので残った者達を放置するわけにも行かずに残った者達を連れて離れていった者達を見守るために全てを見渡せる場所、高い空へと昇って行きました
長い時が流れ神と共にいたもの達以外はみんな神の事を忘れてしまいました……共に過ごしていた者達の存在も忘れ、中には殺しあいをする者達も出てきました
神はその様子を見て止めなければと再び地上に降りて、一つ一つ、様々な国へと移動をし頭を冷やすように言葉をかけるも誰も聞く耳を持たなかったのです
挙げ句の果てには敵国を滅ぼす力が有るのならば力を貸せと言ってくる始末
そこで神は気が付いてしまったのです……自分の持っていた知恵を伝えたせいで欲と言うものが芽生えたのだと、少し考えれば分かったことだというのに
神を慕っている者達は黙り込んでしまった神を心配し協力を願い出て、根気よく説得を試みるも押しとどまってくれた者は人数の少ない集落のみでした
……神はどうすれば押しとどまってくれるのか、言葉が届かない以上壊すしかないと判断しました……しかしそれは自分を慕っている者達も巻き込んでしまうそして何よりも安直すぎる行動だと思いました
瞳をとじ長く息を吐き出すと決意をしたように神の計画を話します
お前達には愛想がつきたのでこの世界を破壊する……生きたければ私の元に行き着く文明を築いて止めに来るがいい、リミットはこの世界のエネルギーが枯れ尽きるまでだ
そう言い放つと世界の一部があっという間に枯れ尽き命有るものが近寄れない地域が出来上がりました
神を慕っている者達にも追い討ちをかけるように地上へと放ちました……中には神の元をてこでも離れようとしなかったものも居たそうですがね
どんどんと世界が枯れていき、地上に住む者達はお互いにいがみ合っている場合じゃないとお互いの知恵を振り絞って神の元へとたどり着き神に止めを差しました
天空には神と神を慕う物の亡骸が光を放つと枯れていった大地は元通りとなりました
みんな手を取り合い喜び会いました、中にはひっそり涙を流し心に誓うものが居たのでしたが気が付くものは居ません
心に誓うもの……それは神の意思を継いだものでした
またいずれみんなが争う状況になるだろう……そうならないためにも頼む
神が初めてお願いしたのは世界の平穏でした……とても簡単なようでとても難しい、砂糖が口から出せるようなくらいに甘い思考……それが神からの唯一の願いでした
年月は生き物の記憶を忘れさせるもの……仕方の無いことなのかもしれませんね
虚無の大地に多い尽くされる日がないことを祈りこの本を残します
※それ以降は煤けた材質の空白が続いている