忘れられた種族
[とある世界の忘れられた種族]
ー昔の夢とこれから起きる出会いー
全て何もかも悪いことを自ら受け入れる少年がいた…………その悪評は取り消せないほどのものだった
彼の本質を知るものは
死んでしまう
少年は気が付いてしまった
周囲を信頼してくれている人がその彼の悪者(外敵)になることに気が付いてしまった
少年は彼を裏切った
彼と言うのは
正しくないか
自分の心を裏切れず、周囲との壁をつくり荒れ狂い、人々に恐怖を刻み付けた
そんな少年に対して彼は少年を恨み続ける
そして少年は一時の思い出を胸に残し
結局は独りになった
彼と自分
どちらかが
こうなるのならば
恨まれる方が良い
きっと知れば傷付く
それは同時に自分が
傷付くということだ
彼とは相容れない方が
お互いのため
会おうと思う気力さえ
無に返せば良い
少年の世界にとっては
彼との出会いで広がった
そんな世界を知ったのは
彼のお陰なのだ
余りにも少年は
無知すぎた
外野にしてみれば
少年は彼に
依存しているように
見えるかもしれないが
それはお門違いなのだ
ただ単に無知なのだ
何も知らなすぎただけだ
きっと無知ではなければ
このような行動は
しなかっただろう
相手と自分ふたつの首をしめる愚かな事などしまいまい
そしてきっと無知で
なければ今の状態もあるまい
既に少年は知っている
これからどうなるのかも
嘘をついていたとしても
きっと相手を許してしまうのだろう
懐かしい夢でも見たのだろうとまぶたを開けるとふと目に光が射し込んだ
大樹の小枝の間から
キラキラと光はもれる
声が聴こえた
救いを求める声が
運命に捉えられている
者達の声が
運命に抗う者達よ
どうか無事に
無事でいられますように
私の所に来るのは
まだ先のよう
ただただ願う
悲しいことがないよう
皆が皆
幸せな世界ならば
良いのに
ただ私は既に知っている
運命に絶対は無いことを
幸せだけな世界では
成り立たぬことと
もうあの頃のように
無知ではないのだから
今日も拝見の人が来る
私を頼りに訪れる人だ
力になれるならなろう
私の言葉を聞き
歓喜する者
悲観する者
怒気する者
楽観する者
様々
口にはしないが
運命は簡単に変化する
少なくとも
彼女を知るまでは
そう思っていた