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日常幻想  作者: 月御影
9/13

春月夜

―春月夜―

「おつきみ?」

家のベランダでぼんやりと月を眺めていると、舌足らずな声が聞こえた。

「ん、今夜もいい月」

そちらを見ずに答えると、何かが動く気配。

…あ、こっち来たな。

「きれい?」

「そうだね。綺麗だと思うよ」

きゅっと足にしがみつく子供をひょいっと持ち上げる。

顔を覗き込むと、嬉しそうにはにかむ少女の顔が見えた。

「朧ちゃん、今夜は一人?」

「んー…にぃもねぇもまいご」

迷子は君でしょ。という言葉を辛うじて飲み込む。

少女は“月”を表す月一族の一人、朧月ちゃん。担当は春。

いつもは春月と花見月が一緒だったはずなんだけど。

「でもへいき!ゆかりねぇといっしよ!」

「うーん…まぁそうだね。一緒に月見してようか」

今頃大慌てだろう月の主達を思って苦笑する。

まだ寒さの残る夜だけど、ほのかに香る花のかおり。

そっと、目を閉じた。

「ゆかりねぇ?おねむ?」

「違うよ。もうすぐ花でいっぱいになるなって」

「ん!おぼろたちがきたから、もうはるなの!」

ミニマムな少女を抱え直し、月を見る。

今年は夜桜もして見ようかな。

夜のみんなとも楽しみたいし。

「朧ちゃん、桜が咲いたら一緒に桜見しようか」

「うん!するっ!」

キャッキャとはしゃぐ朧ちゃんに笑いかける。


聞こえてきた騒がしい声は無視しておこう。

「「朧月ッ!!」」

「あー、にぃ、ねぇおかえりー」


―朧月【おぼろづき】―


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