青空
―青空―
一人神社の階段で伸びをする。
気持ちのいい休日だ。
暖かい日差しに桜の蕾が膨らんできている。
「もう少しかな」
「何が?」
…びっくりした。声を出さなかった自分頑張ったと思う。
「もう、いきなり声掛けないでよ」
「えー?いたって普通に登場したけど?」
貴方たちの普通を一般人の普通と考えないでほしい。
「で、何がもう少しなの?」
「桜」
短く答えると、青年は桜の木をぐるりと見渡してにっこり笑った。
とても人懐っこく明るい笑顔。今日の天気のようだ。
「本当だ!また桜見するの?」
「うん、女子だけで」
「えー!オレも入れてよ」
「晴昊は男子なのでダメ」
そう言うと晴昊…“晴れ”の主はしゅんと肩を落とす。
だって男子OKにしたら陽炎とか来て面倒なんだもの。
「頑張るよ?」
「…」
「霖に勝って晴れにするよ?」
「……」
「ダメ?」
「…あー、もう、分かったよ。今年はみんなでしよっか」
押し負けた。
私よりでかいくせに子犬に見えるのよね、晴昊は。
それに、晴昊が沈んだら…晴れなくなる。
「本当!?嬉しいなー!紫とお花見だ!」
キラキラした笑顔が眩しい。
こんなに喜ぶなら、まっいいか。
今年はにぎやかになりそう。
たまにはそんなのもいいか。
―晴昊【せいこう】―