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日常幻想  作者: 月御影
7/13

雨傘

―雨傘―

「傘、忘れた」

降り続ける雨を眺めてため息を吐く。

昨日叢雲に教えてもらったのに…

朝の自分に文句を言いたい。

さて、どうしたものか。

雨に濡れて帰るしかない…かな。

あ、いや、そういえば。

「霖くーん」

「はいはーい!呼んだッスか?」

上空からふわりと降りてきたのは“雨”の主、霖雨くん。

まぁ、私の目的は…

「傘」

「へ?」

「傘貸して」

「えぇーっオイラのッスかー?」

彼がいつも持ち歩いている傘。

雨を表しているくせに何で持ってるんだか。

「ね、霖くん」

「しょうがないッスね」

渋々というように青い傘を渡してくれた。

「ありがとう!ほら、帰ろ」

少しすねている霖くんの手を引いてやれば、彼は一瞬目を丸くして微笑む。

「…雨は好きッスか」

「うん。この傘越しに聞こえる音も、水溜まりに落ちる音も落ち着く」

「そッスか」

二人で静かに雨の道を歩く。

「小夜ちゃんにも聞かれたな…」

「雨って嫌われやすいッスからね」

淋しそうに呟く霖くんにちょっとムッとして、少し高いところにある顔を覗き込む。

「私は好きだよ」


霖くんは目を丸くした。

そして、顔を背け照れ臭そうに笑いながら、雨音の中何かを呟いた。

(ホント、かなわないッス)

その言葉は聞こえなかったけれど。


―霖雨【りんう】―


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