星巡り
―星巡り―
今夜は星の美しい夜だ。
満天の星がよく見える。
うん、綺麗。
「アルクトゥールス、スピカ……デネボラ」
「おやっ春の大三角かいっ?」
星を探して指を差していた私に明るい声がかけられた。
「正解」
「まっこれくらいとーぜんだよっ☆」
声の方を見て微笑むと、言葉とは裏腹に嬉しそうな少年が胸を張る。
彼は星芒。“星”を表す主だ。
少し背伸びをしたいお年頃(?)らしい。年なんて知らないけど。
「今夜は綺麗に見えるね」
「うんっ☆この前は小夜時雨に邪魔されたけどねっ」
ぷくっと膨れる金髪の少年を見て、「あ、似てる」と思ったのは内緒だ。
小夜ちゃんと星芒はあまり仲良くないらしいから。
「星芒、あれ星座?」
「んっ?あ、からす座だねっ☆春の大曲線の終点なんだよっ」
「へぇ、知らなかった」
そもそも春の大曲線を知らない。
ま、とりあえず相槌打っとけばいっか。
星芒嬉しそうだし。
「もうっ紫姉はこんなのも知らなかったんだっ。しょーかないなっ!もっと教えてあげるっ☆」
この子も本当に子供っぽいな。
そんなに胸張らなくてもいいのに…
小さい子の背伸びって微笑ましいよね。
「くすっ、じゃあ御享受願おうかな」
「ご、きょ?…うんっ?」
首を傾げる星芒に笑いながら、星空に視線を移す。
さて、星巡りを再開しよう
―星芒【せいぼう】―