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日常幻想  作者: 月御影
3/13

―春―

「紫ちゃん」

優しい声に呼び止められ、クルリと振り向く。

そこにいたのは暖かく微笑む薄桃の着物を纏った女性。

「佐保姫さん」

朝の境内にやってきたのは春の主、佐保姫さんだ。

「ふふっ、久しぶりね」

「ええ、一年ぶりです。もう春なんですね」

四季を表す人とは一定期間しか会えない。当然なんだけど。

風にふわりと舞う佐保姫さんからは花の香がした。

「またお会いできて嬉しいわ」

「私もです。今年も一緒に桜見しましょうね」

「勿論!年に一度の楽しみなのだから」

嬉しそうな様子につられて私も笑う。

よく見ると、佐保姫さんにつられていくつかの花が咲いている。

「あらやだ、またやってしまったわ」

気付いたのか、照れたように下を向いた。

実はこれ、毎年のこと。この後花の主に注意されるのだ。

「くすっ、春ですね」

桜は未だでも、私にとってこの光景こそが春の始まり。

「もう、紫ちゃんの意地悪っ」

佐保姫さんの頬も、花に負けない桃色だった。


春は、もうそこに


―佐保姫【さおひめ】―


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