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日常幻想  作者: 月御影
10/13

―桜―

満開。

それ以外の言葉は私のボキャブラリーに存在しない。

美しい桜吹雪が神社一面に舞っている。

「今年も綺麗じゃん」

「お気に召していただけました?」

桜の影に声をかけると、やわらかい声で返事が返ってきた。

「ずいぶん賑やかですね」

美しい黒髪は風に揺れ、様々な花が型取られた髪飾りはきらめいている。

彼女は“花”の主、花影。本日の花見の主役だ。

「今年は皆来ちゃったからね」

「ふふっ、たまには楽しいじゃないですか」

ころころっと笑って花影は盛り上がっている集団を見る。

「花も喜んでいます」

「へぇ、花影嬉しいんだ?」

にやっと意地悪く笑ってそう言えば、花影はしまったとばかりに赤くなる。

「あ、わ、わたし、あのっ」

すごい勢いで赤面する花影がとても可愛い…のだけど。

「わ!ちょっ、花咲きすぎじゃない!?」

「桜が吹雪通り越して雪崩になってんぞ」

「花影!貴方何してるの!」

花影の影響で花も桜も乱れ咲いた。

よかった、今年は巻き込まれなくて。

去年は埋まったもの。

「お、おだまりくださいっ!というか佐保は人のこと言えないですよ!」

「な!?あれはもう謝ったでしょう!」

…何故だろう。男性人の方が静かだ。

「…叢雲、桜綺麗だね」

「…(コクリ)」

「晴昊〜酒ぇっ」

「陽炎さん飲み過ぎじゃない?」


騒がしさもまぁ良いかと思いながら、咲き誇る桜を眺める。

「最高の風景じゃん」

私の呟きに、皆が笑った気がした。


―花影【かえい】―


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