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第五部 第六話 ノア、正直は、時に刃になる

ノア君やらかしばっかりだね!

それは、正式な会議の後だった。


資料は閉じられ、決定事項も共有され、

あとは各自戻るだけ。


誰もが気を抜き始める時間。


「……正直さ」


誰かが言った。


「最近、佐伯さんの判断、早すぎない?」


笑いを含んだ声。

冗談のようで、冗談じゃない。


「結果は出てるけど」

「ついていけない人、結構いるよな」


ノアは、足を止めた。

誰かを責めている口調ではない。


ただ、事実を共有しているだけ。


それが、一番危ない。


「……兄さんは」


気づいたら、口を開いていた。


「悪くないです」


一瞬、空気が止まる。


「兄さんは、、誰よりもちゃんと考えてます」


それは、嘘じゃない。

守ろうとしたわけでもない。


ただ、”正直な感想”だった。


「ただ」


続けてしまった。


「みんながついていけてないだけで」


言った瞬間、やってしまったと分かった。

だけど、もう遅い。


視線が、一斉に集まる。


「……それってさ」


誰かが、ゆっくり言った。


「ついていけない側が悪いってこと?」

「違います」


ノアは、すぐ否定する。


「そういう意味じゃ――」

「でも」


別の声。


「結果的にそう聞こえる」


ノアは、一瞬言葉を失った。


そんなつもりは、一切なかった。


「俺は、、ただ兄さんが全部悪いみたいに言われるのが」


声が、少し強くなる。


「違うって言いたかっただけです」


沈黙。


そして。


「……だからさ」


誰かが、少し苛立ったように言う。


「佐伯さんって、冷たいんだよ。ノア君は話せるけど」


「兄は、違う」


その言葉で、何かが切れた。


「違います」


今度は、はっきりした声。


「兄さんは」

「冷たくなんかない」

「必要な判断をしてるだけです」

「それを」

「分からないって言うなら」


言葉が、止まらなかった。


「ちゃんと見てから言ってください」


空気が、一気に張りつめる。

これは、もう雑談じゃない。


ノアは、一歩前に出ていた。


庇っている。

完全に。


その場を、収める声が入る。


「……そこまでだ」


上の立場の人間。


「ノア、一度、下がれ」


ノアは、はっとした。


自分が前に出すぎている。

分かっていた。

でも、引けなかった。


「……すみません」


そう言って、一歩下がる。


だが、空気は元に戻らない。

その場はそれで終わった。


表向きは。


後で、断片的な報告が回ってくる。


ノアが感情的になったこと。

不用意な発言をしたこと。

兄を庇ったこと。


それを聞いて、ノアはようやく理解した。


『拾う役が、盾になってしまった。』


これは、自分の役割じゃない。


でも。


じゃあ、自分は何をすればよかったのか。


答えは、まだ見えない。

ただ。


このまま何もしなければ、兄さんが一人で削られていく。


それだけは、はっきりしていた。

ノアは、拳をぎゅっと握りしめた。


正直であることが、こんなにも難しいとは思わなかった。



感想をいただけると嬉しいです。

※一応完結分までは完了してますので都度載せる予定です。

よろしければ見てください。


AIアシスト作品です。


僕はまだ、ただの学生だったはずなのに。

気づいたら、伯爵家と組織と、大人たちの胃を一手に引き受けていた。

これは「有能すぎたせいで詰んだ男」の話。

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