幕間 凛と蘭の「宝の山」
凛と蘭が「ピコーン」する回。
~時間は少し戻って…夏休み終盤。アメリカにいる凛と蘭~
二人は次のビジネスネタでも落ちていないかと、スマホの写真フォルダを漁っていた。
「……これ何?」
「ホテルの天井」
「何の資料?」
「インスピレーション」
「どこに使うのよ」
「いつか」
「来ない“いつか”ね」
スワイプ、スワイプ、スワイプ。
消す気はあるのに、なぜか残る写真ばかりが増えていく。
「ねえ、これ見て」
「どれ」
凛の指が止まった瞬間、動画が再生された。
********************
『おかえりー!!』
助走。
勢い。
そして——ドン。
********************
「……ちょ、悠馬吹っ飛んでない?」
「吹っ飛んでるわね」
「大学生が」
「中学生に」
「タックルされて」
「床に沈む」
無慈悲にループされる動画。
「体格差、完全に逆転してる」
「頭半分は違う」
「というかノアでかすぎ」
「というか悠馬細すぎ」
一拍置いて、凛が言った。
「……これさ」
「うん」
「売れるよね」
「うん」
即答だった。
「ノア単体はもう殿堂入りだし」
「でも“うっかり悠馬”が映ると反応跳ねるのよね」
「しかも最近、変な噂もあったし」
「あれ誰が流したんだっけ」
「私たち」
「私たちか」
二人は顔を見合わせ、にっこり笑う。
「じゃあ」
「過去フォルダ」
「行く?」
「行こ」
二人はクラウドに保管されているデータを掘る。
掘る。
掘る。
掘り尽くす。
「うわ、ちっちゃ」
「ノア、丸い」
「悠馬、既に疲れてる顔してない?」
「将来の片鱗がある」
写真は時間を飛び越えて並び、
いつの間にか、立場も距離も逆転していた。
「ねえ見て」
「ん?」
「この頃から、もうノアが前歩いてる」
「保護者どっち」
「分からない」
凛と蘭の瞳が、完全に**金色**に染まる。
「問題は」
「なに?」
「合法」
その瞬間、背後から低い声。
「……また碌でもない顔してるわね」
ジェシカだった。
「見てこれ」
「嫌な予感しかしない」
「監修お願い」
「軽い!」
とはいえ画面を覗いた瞬間、ジェシカは黙る。
「……」
「……」
「……ギリ、いける」
凛と蘭、同時にガッツポーズ。
「よし」
「準備だけしよ」
「編集して」
「選別して」
「発売は——」
凛がさらっと言う。
「悠馬に届く頃」
「そうね」
「本人に知らせるのは」
「後で」
ジェシカがため息をつく。
「悠馬……胃、大丈夫かしら」
「知らない」
「自己責任」
「強く生きて」
その頃、遠く離れた場所で、何も知らない悠馬は、
ようやく続いた平穏に、深く息をついていた。
だがその平穏は、すでに選ばれ、切り取られ、
“商品名”を与えられる直前だった。
夏の終わりに、世界のどこかで——
『胃が痛くなる準備だけが、完璧に整えられていた。』
感想をいただけると嬉しいです。
※一応完結分までは完了してますので都度載せる予定です。
よろしければ見てください。
AIアシスト作品です。
僕はまだ、ただの学生だったはずなのに。
気づいたら、伯爵家と組織と、大人たちの胃を一手に引き受けていた。
これは「有能すぎたせいで詰んだ男」の話。




