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第四部 第十二話 分かってしまった側

大人組も好きです。特にジェシカさん。

~拓海/エドワード/ジェシカ~


最初に口を開いたのは、拓海だった。


「……来てるな」


ロンドンのオフィス近く。小さな会議室。


正式な会議ではない。ただの顔合わせ。


「何がだ」


エドワードが聞く。


「悠馬への当たり」


拓海は、言葉を選ばずに言った。


「評価じゃない。もう、攻撃だ」


エドワードは、一瞬だけ眉をひそめる。


「言い過ぎじゃないか?まだ表に出ていない」


「だからだ」


拓海は、静かに続ける。


「表に出ないうちに止めないと…

“正論”で削られ始めてる」


沈黙。


そこに、ジェシカが紅茶を置いた。


「……やっと気づいたのね」


二人が、そちらを見る。


「悠馬は」


ジェシカは、淡々と言う。


「“分かる側”に立ちすぎてる」


「それがどれだけ危険かということを

本人は分かってない」


「……分からないだろうな」


拓海が言う。


「分かるのが当たり前だから…

分からない感覚が想像できない」


エドワードは、黙って聞いていた。


やがて、低い声で言う。


「……それは、私の責任だ」


二人が、視線を向ける。


「悠馬には…

考えることを教えた。

疑うことを教えた。

正解を最短で導く訓練も」


指を組む。


「だが…“分からない人間の気持ち”を教えていない」


「……教えられると思ってたのか」


拓海が、少し荒い声で言う。


「能力は制御できるが、

感覚は制御できない」


ジェシカが、静かに補足する。


「彼は…、人より見えすぎるの。

だから“見えていない人”を想像する前に切ってしまう。

切るつもりはなくても…結果的にね」


エドワードは、目を閉じた。


「……ノアは」


拓海が言う。


「考える前に動く。あれは俺のせいだ

鍛錬だの現場だの、身体が先に反応するように

育てた」


「…だから殴った」


「……」


「でもな」


拓海は、はっきり言った。


「ノアは分からない側の痛みが分かるし、

分からないことに焦る。だから爆発した。悠馬は爆発しない」


「その代わり。削られる」


ジェシカが、頷く。


「静かに、正論で、善意で」


空気が、重くなる。


「……どうする」


エドワードが、問いかける。


「悠馬への攻撃は、止めるべきか」


「止められない」


拓海が即答する。


「正論だから。評価が、事実だから」


「だからこそ」


ジェシカが、結論を出す。


「受け止め方を変えるしかない」


「……どうやって」


「一人で立たせない」


短い言葉。


「彼は正しい。でも、

一人で正しさを背負わせるには

優秀すぎる」


エドワードは、苦く笑った。


「……皮肉だな」


「育てた結果、一番孤立させている」


「それを分かっているのが」


「我々だけ、というのもな」


ジェシカは、カップを置く。


「ノアが戻るまで持たせる。そして、

戻ったら並ばせる。

補佐じゃない、共同責任者として」


拓海が、深く息を吐く。


「……間に合うか?」

「間に合わせる」


ジェシカの声は、静かだが揺るがない。


「それが、育てた側の責任よ」


その場に、しばらく言葉はなかった。


ただ一つ、全員が理解していた。


『悠馬は悪くない。』


でも。


『このままでは守れない。』


そして。


彼自身が、それに気づく日はまだ先だ。



感想をいただけると嬉しいです。

※一応完結分までは完了してますので都度載せる予定です。

よろしければ見てください。


AIアシスト作品です。


僕はまだ、ただの学生だったはずなのに。

気づいたら、伯爵家と組織と、大人たちの胃を一手に引き受けていた。

これは「有能すぎたせいで詰んだ男」の話。

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