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幕間 大人は距離を取ることを知っている 行き先:アメリカ

登場人物皆下向いてるのでちょっと息抜き

その話は、とても静かに決まった。


「アメリカ、行くわよ」


ジェシカがそう言ったのは、朝食後の紅茶の時間だった。


「え?」


凛が顔を上げる。


「え?」


蘭も同時に顔を上げる。


息ぴったり。


「今?」

「このタイミングで?」

「仕事は?」


二人分の視線が、ジェシカに集中する。


ジェシカは、何一つ動じず、カップを置いた。


「夏休みでしょう?私も少し、向こうに用がある。

ついでに、あなたたちも連れていく」


「……ついで?」


凛が眉をひそめる。


「私たち、荷物扱い?」

「安心しなさい」


ジェシカ、にっこり。


「優先順位は高いわ。このタブレットの次くらい」

「低くない?」

「高い方よ」


その時、蘭がぽつりと呟いた。


「……ノア、やらかしましたよね」


一瞬、空気が止まる。

凛が、即座に続ける。


「しかも、結構派手に」

「殴ってるし」

「表沙汰にはなってないけど」

「でも、中では大事件」


二人の視線が、再びジェシカへ。


ジェシカは、ため息ひとつ。


「ええ。

だから行くのよ」

「……逃げ?」

「距離」


即答。


「大人はね、若い子がやらかした直後ほど

“すぐに正解を与えない”って選択をするの」


凛が首を傾げる。


「え、普通逆じゃない?」

「説教とか」

「管理とか」

「詰めるとか」

「それは、余裕のない大人のやり方」


ジェシカ、淡々。


「今、必要なのは、整理する時間と、

 誰かが“場にいないこと”」


蘭が、小さく頷く。


「……なるほど」

「私たちがいると、

余計な口出し、増えますね」


「そう」


ジェシカ、満足そう。


「特にあなたたち、動きが速すぎる」


「え、褒めてる?」

「評価よ」


凛、少し胸を張る。


だが、次の一言で即座に崩れる。


「だからこそ、今は邪魔」

「ひどくない?」

「的確」


蘭、即フォロー。


「……ちなみに」


凛が、思い出したように言う。


「悠馬兄は?連れていかないの?」


「……え?」


ジェシカ、一瞬だけ真顔になる。


「連れて行ったら、壊れるわ。

飛行機の中で仕事するでしょ」

「着いた瞬間会議入れる」

「時差で倒れる」


「「「却下」」」


「本人も?」

「本人が一番、却下」


二人、同時に納得。


「「ですよね」」


「兄は今、休ませないといけない人」

「でも休まない人」


「だから、物理的に距離を取る」


凛が、にやっと笑う。


「……つまり」


「今の屋敷、悠馬兄中心で回すってこと?」


「ええ」

「ノアは?」

「考えさせる」

「エドは?」

「守りに回らせる」

「拓海は?」

「現場に放る」

「役割分担、完璧」


蘭が、ぽつり。


「……私たち、完全に外された?」

「そう」

「信頼の証」

「……便利な言い方」


凛が、くすっと笑う。


「でもまあ…久しぶりのアメリカも悪くないか」

「ね」


蘭も、肩をすくめる。


「仕事は?」

「持っていく」

「向こうでも稼ぐ」

「抜かりないね」

「当然」


ジェシカは、立ち上がりながら言った。


「出発は三日後。

荷物は軽めで、仕事は重めで」

「……相変わらず」

「容赦ない」


凛と蘭、顔を見合わせる。


そして同時に。


「了解」

「了解」


その日の午後。


屋敷の中では、何も知らない悠馬が淡々と仕事をしていた。

ノアは、自室で進路資料を広げては閉じている。

エドワードは、親族との連絡に追われ。

拓海は、現場へ向かっていた。


誰も、まだ気づいていない。


数日後、この屋敷から


・ジェシカ

・凛

・蘭


という**厄介で有能で容赦のない三人組**がいなくなることに。


そしてそれが、悠馬にとっては


「ようやく完全に一人で立たされる時間」


になるということに。


なお。


空港に向かう車内で、凛が言った。


「ねえ」

「これってさ」

「逃避じゃなくて戦略だよね?」


ジェシカは、微笑んだ。


「もちろん」

「一番強い介入は

“何もしない”ことよ」


蘭が、小さく付け足す。


「……でも」

「何もしないって」

「一番難しい」

「だから」


ジェシカ、肩をすくめる。


「できる大人がやるの」


飛行機は、静かに離陸した。


ウィルトシャーから、少し遠くへ。


嵐の中心を、意図的に外して。



感想をいただけると嬉しいです。

※一応完結分までは完了してますので都度載せる予定です。

よろしければ見てください。


AIアシスト作品です。


僕はまだ、ただの学生だったはずなのに。

気づいたら、伯爵家と組織と、大人たちの胃を一手に引き受けていた。

これは「有能すぎたせいで詰んだ男」の話。

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