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第四部 第八話 悠馬、 見えているという前提

悠馬大王無双回が続きました。


ロンドンのオフィスは、よく回っていた。


会議は短く、判断は早い。

迷いが挟まる前に、結論が出る。


それを、「無双」と呼ぶ人がいる。

だが、自分の感覚では違った。


ただ、『見えているものを処理しているだけ』だ。


午前。


会議室のスクリーンに、数字が並ぶ。


想定。

実績。

誤差。


問題は、どこにも隠れていない。

皆、同じ資料を見ている。


それなのに、判断が止まる。


「……」


悠馬は、一瞬だけ考える。


なぜ、止まるのか。

答えは簡単だ。


『どこを見るべきかが、揃っていない。』


「この部分は、今は見なくていい」


そう言うと、場が静まる。

視線が、自然と一点に集まる。


「今、考えるべきなのはこっちです」


別の資料を示す。


反論は出ない。

出せない、という方が近い。


誰も、間違ってはいない。


ただ、“優先順位”が共有されていないだけだ。


会議が終わる。


誰かが、感心したように言う。


「やはり、佐伯さんは違いますね」


違わない。そう思う。


自分が見ているのは、努力すれば誰でも見えるものだ。

最初から見えていたわけじゃない。


何度も失敗して、痛い思いをして、ようやく分かるようになった。


だから。


『分からない人がいることが、分からない。』


それが、一番の問題かもしれない。


午後。


別の会議。


同じように進み、同じように終わる。

結果は悪くない。


むしろ、安定している。

安定しすぎている。


「これでいい」


誰かが言う。


「この体制が、一番効率的だ」


頷きが返る。

悠馬は、その言葉に小さな違和感を覚えた。


『効率的であることと、正しいことは同じではない。』


でも、口には出さない。

今、止める理由がない。

壊れていないからだ。


オフィスを出る。


夜は、ロンドンのフラット。


屋敷に戻らない日が、増えている。

家の案件は、リモートで処理できる。


感情の絡む部分は、後回しにしている。


それも、判断だ。

机に座り、タブレットを開く。


ノアの件。


後始末は、ほぼ終わっている。

報告書は、簡潔だ。


しかし。


ノアの顔が、頭に浮かぶ。


あの時の言葉。


『同じように見えるわけじゃない。』


思考が、そこで一度止まる。

自分は、見えている。


それは事実だ。

でも。


”見えていることを前提に人を配置するのは、正しいのだろうか。”


……答えは、まだ出ない。


今は、構造が回っている。

結果も出ている。


だから、進む。


進まなければ、止まる。

止まれば、壊れる。


それだけは、避けたい。


「……人の上に立つ、か」


小さく呟く。


上に立つということは、前に出ることではない。


決めることでもない。


ただ、”どこを見るかを決めること”だ。

そう、自分は思っている。


だけど。


それを皆が同じように見ているかは、分からない。

分からないまま、判断を続けている。


それが、正しいのか。

冷たいのか。

切り捨てているのか。


まだ、分からない。


だから。


今も、考え続けている。


”人の上に立つということは、どういうことなのか。”


答えは、……まだ途中だ。



感想をいただけると嬉しいです。

※一応完結分までは完了してますので都度載せる予定です。

よろしければ見てください。


AIアシスト作品です。


僕はまだ、ただの学生だったはずなのに。

気づいたら、伯爵家と組織と、大人たちの胃を一手に引き受けていた。

これは「有能すぎたせいで詰んだ男」の話。

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