第四部 第二話 小さな成功と、違和感
悠馬大王とノア君はロンドンのオフィスとウィルトシャーにある実家?を行ったり来たりしてます。ロンドンにも一応家はあるのでそこに二人で住んでる感じ?
~ノア・ハミルトン~
数日後。
ノアは、“前に出る人間”として扱われるようになっていた。
「ノア様にご相談を」
「ノア様のご判断を」
呼ばれる。頼られる。
もちろんそれは、悪い気分じゃない。
むしろ、誇らしかった。
自分は、ちゃんとやれている。
そう、思いたかった。
でも……。
「……ここ」
資料を見て、ふと、引っかかる。
条件が、少し甘い。
でも、”致命的”じゃない。
「……まあ、大丈夫かな」
判断をする。
その日の夜…。
「……ノア」
兄さんが、控えめに声をかけてきた。
「これ、一行だけ足した方がいい」
差し出された紙に、たった一行。
それだけで、全体の意味が変わる。
「……あ」
声が漏れた。
「悪くはなかった」
兄さんは言う。
「ただ、“守り”が一つ足りなかった」
責める口調ではない。事実の指摘。
「……ごめん」
「謝ることじゃないさ」
即答。
「気づいたなら、次は自分で足せばいいよ」
それだけ言って、兄は戻っていく。
ノアは、その背中を見つめた。
翌日。
周囲の評価は、さらに上がった。
「さすがだね。若いのに、しっかりしてる」
「将来有望だな」
成功体験が、積み重なっていく。
だけど。
胸の奥で、何かが少しずつずれていく。
あれ?
昨日の判断、今日の修正。
自分の手柄に見えているものの中に、
全て兄さんの痕跡が混ざっている。
それに気づいた瞬間、少し胸の奥がざわついた。
夜。
自室で、天井を見つめる。
「……俺」
『どこまで自分でやれている?』
『どこから兄さんが支えている?』
……答えは、まだ出ない。
でも。
このまま何も考えずに前に立ち続けるのは、
危ない気がした。
兄さんが、全部引き受けていた頃。
俺は、何も考えなくてよかった。
今は違う。
考えないと、また誰かが代わりに考えてしまう。
それだけは、分かっていた。
感想をいただけると嬉しいです。
※一応完結分までは完了してますので都度載せる予定です。
よろしければ見てください。
AIアシスト作品です。
僕はまだ、ただの学生だったはずなのに。
気づいたら、伯爵家と組織と、大人たちの胃を一手に引き受けていた。
これは「有能すぎたせいで詰んだ男」の話。




