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第三部 第十五話 悠馬は自らを縛り、ノアは重さを知る

この話、最初はドタバタファミリーコメディ(予定)だったんだけど…どうしてこうなった?

Ⅰ:数日後


倒れてから、数日が経った。


身体は正直だった。

頭は回る。判断もできる。

でも、以前と同じ速度では動けない。


「……これが、限界か」


否定する気はなかった。

否定しても、また倒れるだけだ。


だから僕は、人を集めた。


ジェシカ叔母様。

菜摘母さん。

エドワード叔父上。

そして、ノア。


「今日の話は、決定事項です」


最初にそう告げた。”相談ではない。”


「僕は、“トップとしての制限”を設けます」


一枚の資料を出す。簡潔な内容だった。


佐伯悠馬 行動制限案


・単独即断の禁止

・連続稼働時間の上限

・第三者確認を必須とする案件区分

・緊急時代理権限の明文化


空気が、一瞬張りつめる。


「……自分で縛るのか」


エドワード叔父上が言った。


「はい」


即答した。


「トップは、万能であるべきではありません。

壊れない仕組みを使うべきです」


ジェシカ叔母様が、静かに頷く。


「遅いくらいね」


菜摘母さんも、穏やかに言った。


「これでやっと、“暮らせるトップ”になる」


僕は、ノアを見る。


「そして、最も重要な制限です」


少しだけ、言葉を選んだ。


「ノアに関わる判断。僕は、決定しません」


ノアが、はっと息を呑む。


「助言はする。整理もする。でも、選ぶのは君だ」


沈黙。


「……それは」


エドワード叔父上が口を開きかける。


「いいえ」


被せた。


「それが、僕の制限です」


自分を縛る。同時に、彼を縛らない。

これ以上、奪わない。


Ⅱ:ノア


正直、怖かった。


兄さんが制限をかけると言った時よりも、

俺に選ばせると言った時の方が。


「……兄さん」


声が、少し震えた。


「俺、できないかもしれない」


本音だった。


「今まで、兄さんが先に考えて、

先に整理して、先に止めてくれてた」


ノアは続ける。


「それが、当たり前になってた」


兄さんは、何も言わない。否定もしない。


「……俺、無力だ」


口にした瞬間、胸がひどく痛んだ。

でも。


「違う」


兄さんが、静かに言った。


「君は無力じゃない。ただ、考えなくて済んでいただけだ」


それは、残酷なほど正確だった。


「兄さんは……それを、ずっと一人で?」


一瞬だけ、視線を逸らす。


「……怖い?」


聞いた。


「うん」


即答だった。


「兄さんが倒れるの、初めて見た。正直……化け物だと思った」


でも。


「怖い化け物じゃない」


兄さんは、淡々と言った。


「壊れる、普通の人間だ」


その言葉で、分かった。


兄さんの怖さは、能力じゃない。

壊れると分かっていて、前に立つことだ。


俺は、深く息を吸った。


「……分かった」


「逃げない。正解は分からないけど、選ぶ。

間違えても、兄さんに選ばせない」


兄さんは、少しだけ笑った。


「それでいい。それが、トップの重さだ」


Ⅲ:終わりに


こうして、制限は正式に設けられた。

僕は、少し弱くなった。でも、家は少し強くなった。

ノアは、少し怖くなった。

でも、補佐ではなく“共同で背負う側”になった。


そして僕は、はっきりと知った。


自分の怖さとは、

優秀であることでも、冷静であることでもない。


誰かの人生を、

無自覚に軽くしてしまうことだ。


だから僕は、自分を縛る。


トップとして。

人として。


それが、倒れたあとに見つけた答えだった。




感想をいただけると嬉しいです。

※一応完結分までは完了してますので都度載せます。

よろしければ見てください。


AIアシスト作品です。

僕はまだ、ただの学生だったはずなのに。

気づいたら、伯爵家と組織と、大人たちの胃を一手に引き受けていた。

これは「有能すぎたせいで詰んだ男」の話。

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