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第三部 第十一話 佐伯悠馬は、逃げない、逃がさない

噂回収編その2 一つの話だったんだけど長くなったので分けてみました。

悠馬君は胃薬を箱買いするようになっています。大変ですね。

その夜。


ハミルトン邸の大広間。


家族。関係者。

ごく限られた内部会合。


悠馬は、一歩前に出た。


「……僕から、一つ話します」


誰も、口を挟まない。


空気が、目に見えて変わる。


「噂が、制御不能になりました」


静かな声。


「これは、事実です。否定しません。」

言い訳もしません」


エドワードが、何か言いかける。


でも、ジェシカが小さく手を上げた。

「続けて」


「このままでは」


悠馬は、淡々と言葉を継ぐ。


「ノアの未来が、“選択前”に決められる”

それは、許容できません」


一拍。


「だから……

僕が、前に出ます」


空気が、完全に止まった。


「噂は、否定しません」


「ただし」


「定義します」


ゆっくりと、一つずつ。


「僕は」


「ノアの恋人ではありません」


「支配者でもありません」


「責任を、引き受ける側です」


ノアが、息を呑む。


「家の外に対しては」


「ハミルトン家の調整役」


「内に対しては」


一瞬だけ、言葉を選ぶ。


「トップが、立てるトップ」


静かに、しかし明確に。


「それが、僕の立場です」


沈黙。


最初に動いたのは、ジェシカだった。


「……了承」


短く、迷いのない声。


菜摘が、深く頷く。


「条件付きで、全面支持」


エドワードは、しばらく黙っていた。

やがて、頭を下げる。


「……私の失策だ」


そして、悠馬を見る。


「だが」


「君が引き受けるなら……

私は、従う」


ノアが、立ち上がった。


「兄さん」


声が、わずかに震える。


「俺、まだ……」

「いい」


悠馬は、即答した。


「君は、決めなくていい」


「決める時間を作るのが、僕の役目だ」


ノアの目に、涙が滲む。


「……ずるいよ」

「知ってる」


悠馬は、ほんの少しだけ笑った。


その夜。


公式には、何も発表されなかった。


だが、内部では全員が理解した。


佐伯悠馬は、

 もう

“止め役”ではない。


トップとして、前に立つ立場を引き受けた。


条件付きではあるが。


逃げ道は、自分で閉じた。


そして、噂は初めて“置き場”を与えられた。


制御不能だった噂は、トップの影に回収された。


内心で、小さく呟く。


「はぁ……結局、王様扱いか」


声には、出さない。


まだ、鳴らす時じゃない。


…胃薬は、手放せないけれども。

感想をいただけると嬉しいです。

※一応完結分までは完了してますので都度だします。

よろしければ見てください。


AIアシスト作品です。

僕はまだ、ただの学生だったはずなのに。

気づいたら、伯爵家と組織と、大人たちの胃を一手に引き受けていた。

これは「有能すぎたせいで詰んだ男」の話。

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