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第三部 第八話 静かな場所に、音が集まる

さむいようねむいよう

Ⅱ:静けさの始まり


最近、周囲が妙に静かだった。


いや、正確には……

騒がしくならないように、整えられている。


資料は揃っている。

会議は短い。

誰も余計なことを言わない。


それは本来、良い兆候のはずだった。


でも。


僕は、この手の静けさをあまり信用していない。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「……以上です」


報告を終えた秘書が、一瞬だけ視線を泳がせた。


「何か?」

「いえ……」


即答。それ以上は出てこない。


問題はない。数字も、契約も、表向きは。


……表向きは。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


昼休み。廊下を歩いていると、遠くで声が止まる。


誰かが、僕を見て黙った。

すぐに視線を逸らす。会釈。

……いつも通り。


違和感だけが、残る。


「……?」


理由は分からない。だけど、視線の質が変わった。

評価でも、警戒でもない。


もっと、扱いに困るものを見る目だ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


夕方。


ジェシカ叔母様からの連絡は、相変わらず簡潔だった。


「問題は管理下にある」


それだけ。詳しくは語られない。

質問も、歓迎されていない。


僕は頷いた。


……そういう時期なのだと、自分に言い聞かせる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


屋敷に戻ると、ノアが珍しく静かだった。


「どうした?」

「ん?」


視線が泳いでいる。


「いや、別に……?」


それが、一番信用ならない返事だ。


「何かあった?」

「……ない」


嫌な間。


「ないけど……」


ノアは、肩をすくめた。


「なんかさ、最近、周りが優しい」


嫌な予感がする。


「どういう意味で?」


「……敬語が増えた」


それは、優しさではない。

でも、ノアは深く考えていない。


「まあ、放っとけばいいかなって?」


……その言葉に、胸の奥がわずかに引っかかる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


夜。


一人で書斎にいると、スマートフォンが震えた。


凛からのメッセージ。


「今は何も聞かない方がいい。」


短い。

そして、非常に嫌な文面。


僕は画面を見つめ、返信せずに机に伏せた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


知らないところで、物事が進んでいる。

それ自体は、珍しくない。


でも今回は……進み方が、やけに整っている。


誰かが、余計な角を落とし、

衝突を避け、見せ方を選んでいる。


それは、僕がやってきたやり方と、よく似ていた。


「……やっぱりか」


小さく呟く。

胃の奥が、じわりと重くなる。


僕は、”まだ”何も知らない。


だけど。

知らないままで済む気がしなかった。

この静けさは、準備の音だ。


誰かが動く前の、最後の無音。


そしてその“誰か”に、自分が含まれていることを、

僕は薄々、理解してしまっていた。


それでも。

この時点では、

まだ。


僕は、動いていない。

感想をいただけると嬉しいです。

※一応完結分までは完了してますので都度出す予定です。

よろしければ見てください。


AIアシスト作品です。

僕はまだ、ただの学生だったはずなのに。

気づいたら、伯爵家と組織と、大人たちの胃を一手に引き受けていた。

これは「有能すぎたせいで詰んだ男」の話。

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