第二部 第十一話 佐伯悠馬は、ただの学生として選ばれる
裏設定
悠馬君は童顔で背も低めです。周りの学生からは「日本人の子供がいる」と認識されることもあります。
現在悠馬21歳くらい?ノアは16歳
並ぶと当然ノアのほうが上に見えます。ちょっとコンプレックスです。
オックスフォードの春は、いつもより少し遅れてやってきた。
石畳の隙間に淡い緑が見え始め、空気がわずかに柔らぐ。
僕は、図書館の同じ席に座っていた。
ノート
ペン
開きかけの論文
いつもの光景。
なのにーー
今日はすこしだけ違った。
「佐伯」
名前を呼ばれる。
顔を上げると、同じゼミの学生が立っていた。
「今日、ディスカッション来れる?」
以前なら迷わず頷いていた。
でも、一瞬だけ逡巡がうまれる。
ーー自分は前に出すぎていないか。
「行くよ」
それでも答えは自然だった。
ディスカッションは白熱した。
制度設計
権限分散
危機対応
ーーー得意分野。
でも、僕はあえて一歩引いた。
全体を見て、必要なところだけ補う。
「……今の視点、面白いね」
教授が言う。
「君は、”決める人”じゃなく”問いを置く人”だね」
その言葉が、胸に残った。
決める人
止める人
それは、これまでの自分。
ーーーでも、問いを置く人?
授業後、教授に呼び止められた。
「少し、話せるかな?」
研究室。
窓から光が差し込む。
教授は、書類を一前差し出した。
「秋からの研究プログラムだ」
企業連携でも、政策系でもない。
『純粋な学術研究』
「君に、来てほしい」
理由は、簡単だった。
「君は、現実を知っている。しかし、それに溺れていない」
僕は、言葉を失った。
評価されたのは”背負ってきたもの”ではない。
”手放そうとしている姿勢”だった。
「僕でいいんですか?」
思わず聞く。
「良いも悪いもない」
教授は笑った。
「学生としての君に興味がある」
その瞬間。
僕の中で何かがすっと音を立てて落ち着いた。
部屋を出て中庭を歩く。
風が心地いい。
スマホを見る。
屋敷からの通知はない。
ジェシカからも、ノアからも。
ーーー問題がないということだ。
「……ああ」
僕は小さく息を吐いた。
思えばずっと、「必要とされる自分」で生きてきた。
止める役
調整役
設計者
でも、今、ここでは。
「何物でもない自分」が選ばれた。
その夜。
僕は、久しぶりに誰にも連絡をせずノートを開いた。
書くのは、家の仕組みではない。
制度論でもない。
『人は、なぜ他者の重荷を背負ってしまうのか』
それは、僕の、僕自身の問いだった。
ペンが止まらない。
胃は、、痛くない。
僕は初めて思った。
ーーーここでなら、、、自分は
”佐伯悠馬”として生きられる。
王でも宰相でもなく。
窓の外で鐘がなる。
新しい出発の合図が。
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佐伯悠馬の学生生活はここで次の段階へ進んだ。
背負うためではなく、選ぶための学びへ。
それは、ハミルトン家のためでも、誰のためでもない。
”自分の人生のための転機”だった。
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AIアシスト作品です。
僕はまだ、ただの学生だったはずなのに。
気づいたら、伯爵家と組織と、大人たちの胃を一手に引き受けていた。
これは「有能すぎたせいで詰んだ男」の話。




