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第二部 第九話 守ると決めたものの名前を、佐伯悠馬はまだ口にしない

エドとジェシカさんの出会いエピソードも実はあったりします。

Ⅰ:悠馬は、学生である自分を選ぶ


オックスフォード夜はいつもより重かった。


部屋の明かりはつけたまま。

論文は開かれているが、文字は入ってこない。

教授の言葉が何度も反芻される。


「学生の立場を超えている」


それは非難ではなかった。

警告だった。


僕は初めて本気で思った。


ーーーここで踏み越えたらもう戻れない。

学生ではいられない。

「二足の草鞋」は両方を守る言葉じゃない。

両方を「壊す」言葉だ。


スマホが震える。

屋敷からだ。

未読のまま画面を伏せる。

胸が、キリキリと痛む。


「……僕は」

僕は声に出して言った。

「学生だ」


知れは逃げではない。


初めて自分の人生を優先する宣言だった。


僕はジェシカにだけ短いメッセージを送った。


「今は戻れません。

学生としてここに立ちます」


理由は書かない。

彼女ならわかる。


送信した瞬間、指先が震えた。

それでも取り消さなかった。


僕は論文を閉じ、新しいファイルを開く。

研究テーマを、少しだけ狭める。


自分の立場で語れる範囲に。

ーー守る。

今はこれを。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


Ⅱ:屋敷は、王が空席のまま踏ん張る


ハミルトン邸の会議室は静かだった。

以前のような緊張ではない。


耐えている静けさだった。


「悠馬は来ない」

エドワードが言った。


それだけで全員が理解した。


菜摘が深く息を吸う。

「じゃあ、やるしかないわね」


それは腹をくくった声だった。


数字は荒れている。

外圧は止まらない。

だけど、誰も逃げない。


「判断はわける」

エドワードは言う。

「一人で背負わない」

それは悠馬が作った仕組みそのものだった。


ノアは、席の端に座っている。

発言はしない。

だけど、逃げもしない。


「……俺、現場に行きます」

小さな声。

全員が見る。

「決めるんじゃない」

エドワードが言う。

「聞いて、持ち帰れ」

ノアは、はっきり頷いた。


それだけで一歩だった。


処理は遅い。

完璧ではない。


だけど、、、壊れない。


誰かが代わりに止めることを学び始めていた。


Ⅲ:ジェシカは、最後のカードを切る


アメリカ

深夜のオフィス。

ジェシカは一人で画面を見つめていた。


悠馬からのメッセージ


短い

でも、強い。


「……ええ」

小さく呟く。

「それでいいわ」


彼女は静かに次の画面を開いた。

自分の会社の非常連絡網。


「予定を前倒しします。

ハミルトン関連案件、私が表に出るわ」


それは、禁じ手に近かった。

ーーーー自分が矢面に立つ。


でも、今はそれしかない。

「悠馬は学生でいさせる」

それが彼女の選択だった。


ジェシカは深く椅子に背を預ける。

孤独は慣れている。

でも、覚悟は何度でも重い。


「……育てたんだもの」

小さく笑う。

「今度は私の番ね」


Ⅳ:三つの選択は同じ未来を向いている


オックスフォードで、僕は静かに学び続けている。


屋敷では誰かが代わりに止めている。

アメリカではジェシカが盾になっている。

完璧じゃない。

正直苦しくもある。

でも、折れてない。


僕は夜窓の外を見て思う。


僕はただの大学生だ。


……今は。


そしてそれを守れたことを少しだけ、誇りに思っていた。










感想をいただけると嬉しいです。

AIアシスト作品です。

僕はまだ、ただの学生だったはずなのに。

気づいたら、伯爵家と組織と、大人たちの胃を一手に引き受けていた。

これは「有能すぎたせいで詰んだ男」の話。

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