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第二部 第六話 佐伯悠馬は、仕組みを作り終えて遠くを見る

とりあえず仕組みを設計した悠馬君。単位落ちないといいね

僕が本格的に動き始めたのは、帰還して三日目の夜だった。

誰もいない会議室、明かりは最小限。


……人が集まる前に終わらせるつもりだった。


最初に壊したのは、自分を通さないと進まない流れ。


それは、僕自身が作ってしまったものでもあった。


止める

調整する

判断する


全部自分でやったほうが早かった。

でも、その”善意”が仕組みを歪めていた。


「……まず、権限を分ける」


悠馬は、紙に線を引いた。


誰が止めるか

誰が決めるか

誰が責任を持つか


『一人に集中しない』


ジェシカには非常停止権限

エドワードには最終決済と対外責任

菜摘には資金と運用

執事長には屋敷内運用と継続性


ノアは……何も与えない。今は。


「役割は力じゃない」


僕は小さく呟いた。


役割は”耐えられる範囲”で、渡すものだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


翌日


僕はあえて一つの決断を自分で下さなかった。

様子を見る。

迷う、衝突する。

だけど、止まらない。


時間はかかるけど、、進む。


さらに翌日。


誰も「悠馬はどういってる?」と、聞かなくなった。

それが最初の成功だった。


屋敷は静かだった。


で角、以前のような”緊張の静けさ”ではない。


『動いている静けさ』


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


夜。


最終確認の会議。


僕は最後まで口を出さなかった。


全員が”自分の役割を理解”し、”判断”し、”責任”を持つ。


僕がいなくても、回る。


「以上です」


執事長の言葉で、会議が終わる。

誰も僕を見ない。


……それでいい。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


終わった後、僕は一人でテラスに出た。

夜風が冷たい。


「終わったな」


声は誰にも届かない。

達成感が確かにあった。

完璧ではない。

だけど、破綻しない。

……それで、充分だった。


空を見上げる。

月は遠い。


ふと、僕は思った。


『僕は、まだ20歳になるだけの大学生のはずだった』


レポートに追われて

議論に参加して

静かな部屋で本を読む生活。


それを選んだはずだった。


「……はず、だったんだけどな」


僕は思わず苦笑する。

胃はすこし痛む。でも、前ほどじゃない。


ノアの顔が浮かぶ。

あいつはちゃんと自分で立とうとしている。

だから、、、

自分はもう、前に立たなくていい。


ジェシカの言葉も思い出す。

「あなたは一人でやらせない」

今ならそれが、少しだけわかる。


僕はポケットからスマホを取り出し、大学のスケジュールを確認した。


戻れる・・・・・。

戻っても問題はない。


「……行こう」

それは、逃げじゃない。”次の役割へ戻る”という選択だった。


屋敷の明かりはすべて僕の背後にある。

それでも僕は振り返らない。

もう、振り返らない仕組みを作ったから。






感想をいただけると嬉しいです。


AIアシスト作品です。

僕はまだ、ただの学生だったはずなのに。

気づいたら、伯爵家と組織と、大人たちの胃を一手に引き受けていた。

これは「有能すぎたせいで詰んだ男」の話。

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