第二部 第一話 静かな場所に、違和感は音もなく生まれる / 王がいない家は、少しづつ音を立てる
最初からなかなか穏やかにならない学生生活を送り続ける悠馬君。もう休ませてあげてよみんなー
Ⅰ:オックスフォードで。
違和感は、事件として起きたわけじゃなかった。
授業も、議論も、人間関係も、問題なく進んでいる。
だからこそ、僕は気づいてしまった。
チュートリアルの最中、教授が問いを投げる。
「では、この前提が崩れた場合、次に何が起きる?」
周囲が考え込む。
僕は、ほとんど反射で答えが浮かんだ。
ーー『暴走する』
誰かが止めなければ。
口を開きかけて、僕は止まった。
……違う。
ここでは自分が止める役じゃない。
答えはだす。でも、、、舵はとらない。
そう「自分」に言い聞かせる。
「……制度が先に破綻します」
教授は頷いた。
「いい視点だ」
それだけ。頼られない、持ち上げられない。
『正しい評価』
なのに、胸の奥が少しだけざわついた。
ーーー今の、屋敷だったら…。
そう考えてしまったじぶんに、僕は苦笑した。
部屋に戻ると、スマホに未読が一件。
ジェシカからだ。
「小さな遅延あり。様子見」
だが、彼女が”様子見”と書くときはたいてい「兆候が出ている」
僕は変身を書きかけて、やめた。
ここで指示を出したら、また”戻る”
それは「選ばない」
僕は、胃薬を一錠、水で流し込んだ。
痛みはまだ軽い。
でも、確実に戻り始めている。
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Ⅱ:ハミルトン邸(時間軸を前後して)
最初の異変は「誰も止めなかったこと」だった。
「この件、進めますか?」
執事長の問いに、誰も即答しない。
エドワードは資料を閉じ
拓海は黙って腕を組み
ノアは一歩下がる
判断を急ぐ理由はない。だが、待つ理由もない。
「……一旦保留で」
エドワードが言った。
慎重な判断だった。
間違ってはいない。
ただ、、誰も期限を決めなかった。
次は、ノアだった。
訓練中、判断を出す。
止める人声はある。異論も出る。
でも、結果は曖昧に終わった。
訓練はおわり、不満だけが残る。
夕方。
凛と蘭の事業判断がわかれる。
「今なら動ける」
「今は引くべき」
どちらも理屈は通っていた。
でも、線を引く人がいない。
「……ちょっとだけ、試すだけなら」
誰どちらかが言った。
反対はない。責任もない。
決定だけが残った。
その夜、先方から丁寧な連絡が入った。
今回は見送る、という通知。
謝罪も、追及もない。
ただ、次の話は出なかった。
ジェシカはその報告を読んでいた
指は止まらない。
表情も変わらない。
ただ、一行だけを書き留める。
「遅れが連鎖し始めている」
それは緊急ではない。
だが放置すれば戻れなくなる種類のものだった。
でも、それが嵐の前触れだと、全員が理解していない。
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その頃。
遠く、オックスフォードで、悠馬は夜の街を歩いていた。
石畳の音が、やけに大きく響く。
ここは平穏だ。
でも、自分のいない場所がもう平穏ではない。
その感覚だけが、確かに胸に残った。
裏設定。悠馬君の行ってるのはPPEです。悠馬君スゲー
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AIアシスト作品です。
僕はまだ、ただの学生だったはずなのに。
気づいたら、伯爵家と組織と、大人たちの胃を一手に引き受けていた。
これは「有能すぎたせいで詰んだ男」の話。




