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幕間 佐伯悠馬は、卒業する

悠馬君的にはあまり喜ばしくなさそうだなこれ

卒業式の日の朝は、驚くほど静かだった。

寮の廊下にはいつもの足音がない。

代わりにあるのはスーツケースの転がる音と、抑えた笑い声。

終わる日特有の落ち着かなさ。


悠馬は鏡の前でネクタイを結びなおした。

手は、不思議と震えない。

胃も、今日は静かだった。


ーーーーここでは、役割を果たし終えたから。


修了式は淡々と進んだ。

校長の挨拶や、表彰、拍手。


「模範的」「信頼」「貢献」…そんな言葉が並ぶ


悠馬はただ、頷いた。

誇らしさより、安どのほうが大きかった。


何人もの視線や、軽い会釈を受ける

同級生や、後輩たち

誰も僕を引き止めない。

それが、この学校らしい。


最後に、監督生室で最後の片づけをする。

机の上はすでに空っぽだ。


「……終わったな」


独り言が、部屋に溶ける。


「悠馬」


声がした。

振り返ると、教師が立っていた。


「君がいたことで、この数年は本当に楽だった」


感謝は、軽く、でも本気だった。


「どこへ行っても、君は君だ」


それだけ言って教師は去った。

余計な期待は置いていかない。


校門の外


両親と、、それにハミルトン夫妻がそろっていた。

ノアの姿は、その少し後ろ。


近づいてこない。


ーーー分かっている。

今日は前に出る日じゃない。


「おめでとう」


ジェシカがまっすぐ言う。


「ありがとう」

それだけで充分だった。


一枚だけ写真を撮る。

全員、少しぎこちない。

でも、ちゃんと「家族」だ。


ノアが最後に一歩前にでた。


「……兄さん」


すこしだけ低い声で

「おめでとう」

それ以上は言わない。


僕は、微笑んで頷いた。


屋敷に戻る車内。

窓の外を見ながら、僕は思った。


ここで過ごした時間は静かだった。

守られていて、縛られていない。


ーーーーー奇跡みたいな数年間。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



部屋に戻り、最後の荷物を確認する。

オックスフォード行きの書類。

鍵。

新しい生活。


全部、揃ってる。


僕は、ベットに腰かけて小さく息を吐いた。


もう、戻れない。

でも、逃げたわけじゃない。


「行くか」


誰に言うでもなく、そう呟いた。


その言葉には

決意も

諦めも

全部含まれていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


屋敷のどこかで、ジェシカは同じ空を見ていた。


ノアは、初めて「本当に離れる」という実感をかみしめていた。


エドワードと拓海は、言葉少なに酒を飲んでいた。


それぞれが知っている。


この「卒業」は終わりではない。


『王(予定)が、舞台を移すだけ』だ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


静かな夜だった。


だけど、確実に一つの章が閉じた音がした。


次に開く扉の向こうは、もう誰も代わりに止めてはくれない。








感想をいただけると嬉しいです


次から第二部


AIアシスト作品です。

僕はまだ、ただの学生だったはずなのに。

気づいたら、伯爵家と組織と、大人たちの胃を一手に引き受けていた。

これは「有能すぎたせいで詰んだ男」の話。

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