第十二話 佐伯悠馬は、最後に抵抗しそれでも選んだ (第一部 終話)
第一部 終話 次は幕間小話です。
やったね!悠馬君自分から飛び込んじゃったね!
クリスマス休暇の屋敷は、いつもより静かだった。
飾りは派手で、人は多くて、笑い声もある。
なのにーー
空気が落ち着いている。
それはきっと、この家の「歯車」が正しい位置に収まり始めているからだ。
そして、その中心にいるのが自分だということを、僕は理解していた。
帳簿を閉じる。数字は嘘をつかない。
暴走した出資
止められた衝動
調整された未来
ーーーできてしまう。
それが、一番怖かった。
「……嫌だな」
ぽつりと、だれにでもなく呟く。
『役割を引き受けたら、もう戻れない』
普通の学生にも。ただの「兄」にも。
だから、、、、、
これが、「最後の抵抗」だった。
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「母さん」
夕方のキッチンで僕は言った。
「僕、この家から離れたい」
菜摘母さんは驚かなかった。
ただ、少しだけ表情を和らげた。
「そう思うでしょうね」
それだけだった。
「……止めないの?」
「止めないわ」
母さんは、まっすぐ僕を見る。
「でも、逃げても戻ってくるもの」
断言だった。
それはやさしさでも、脅しでもない。
『事実の提示』
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夜。
僕は庭を歩いていた。
冷たい空気、星が近い夜空。
……そこに、ノアがいた。
「兄さん」
声が、少し低い。
「……俺、わかった」
その一言で悠馬は悟った。
”来たな”
と。
「兄さんはこの家を出られない」
ノアの声は、不思議と落ち着いていた。
「出たら、この家が壊れる」
その言葉は、責めるものではなかった。
”理解だった。”
「俺さ」
ノアはこぶしを握る。
「ずっと、兄さんが俺のものだと思ってた」
正直すぎる告白に、僕は苦笑した。
「でも、違うな」
ノアは続ける。
「兄さんは、この家のものだ」
「……だから、俺が離れる側になる」
悠馬は、胸が痛くなった。
それは、成長の痛みだった。
その会話を、少し離れて聞いていた人物がいる。
アメリカから戻ったばかりのジェシカだった。
「……なるほど」
彼女は、すべてを理解した。
この家の未来、その中心。
血筋でも、爵位でもなく、、、、
”佐伯悠馬”
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「あなた」
ジェシカは後でエドワードに言った。
「この子を縛ったら、必ず壊れる」
エドワードは黙って聞いていた。
「でも」
ジェシカはさらに続ける。
「選ばせたら彼は全部背負う」
それが最大の信頼だった。
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クリスマスの夜。
家族がそろった席で、悠馬は静かに言った。
「僕はオックスフォードに行きます、A判定がでましたので。
形式的な手続きは、これからになりますが。」
誰も、驚かなかった。
「逃げるためじゃなく……」
悠馬は一人一人を見て言った。
「掌握するためです」
その言葉で空気が変わった。
「どうせ逃げられないなら……」
僕は笑った。少し、諦めた笑顔で。
「この家の全部を、僕が管理します」
ノアは、静かに頷いた。
菜摘さんは、目を細めた。
ジェシカは深く息を吐いてから微笑んだ
エドワードと拓海は、同時に思った。
ーー負けたな。
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その夜、僕は日記に書いた。
一生胃薬が手放せなくなるかもしれない。
でも、、、それでいい。
守るべきものを選んだから。
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雪は、静かに振り続けていた。逃げ道を塞ぐように。
それでも、僕は前を向いていた。
逃げるためではなく、
『支配するため』に。
感想!感想ほしいです!!正直これがいいのか悪いのかわからなくなってます!!地味だし!
AIアシスト作品です。
僕はまだ、ただの学生だったはずなのに。
気づいたら、伯爵家と組織と、大人たちの胃を一手に引き受けていた。
これは「有能すぎたせいで詰んだ男」の話。




