幕間 冗談のつもりだった
AIのほうが人っぽいと言われる悠馬君
それは、午後の雑談だった。
業務とは無関係。
進捗とも関係ない。
ただの、空き時間。
「ねえ、佐伯さんってさ」
「どの佐伯さん?」
「ほら、最近ずっと最終判断出してる人」
「ああ」
「……人間?」
一瞬の沈黙。
次の瞬間、誰かが吹き出した。
「なにそれ」
「冗談だって」
「でもさ」
声は、楽しそうだった。
「感情で揺れないし」
「疲れた顔しないし」
「判断ブレないし」
「むしろ、仕様みたいじゃない?」
笑い声。
誰も、本気じゃない。
誰も、責めていない。
「アンドロイド説、
ワンチャンあるよね」
「AIじゃなくて?」
「いや、あれならAIのほうが人っぽい」
「逆に?」
「逆に」
また、笑い。
「じゃあ何?」
「佐伯式判断装置?」
「それ商品名だろ」
冗談。完全に冗談。
だから、その場では終わった。
誰も、メモしない。
誰も、報告しない。
でも。
『言葉は、消えない。』
別のフロアで、似たような話がされる。
「冷たいってわけじゃないけど」
「感情を判断材料に
入れてないよね」
「それって」
一拍。
「人として、どうなんだろ」
そこから先は、言われなかった。
言われなかったが、”残った。”
冗談は、笑いと一緒に消えるはずだった。
でも、残った言葉は、形を変える。
「人間離れしてる」
↓
「感情がない」
↓
「共感しない」
↓
「人じゃない」
誰も、悪者じゃない。
誰も、意図していない。
ただ。
”説明されない正しさは、
人を置き去りにする。”
そして置き去りにされた側は、
理由を欲しがる。
それが、どんなに
馬鹿げたものであっても。
その日の夕方。
誰かが、冗談半分に言った。
「佐伯さんって、
アンドロイドなんじゃない?」
誰かが、笑った。
そして、誰かが笑わなかった。
感想をいただけると嬉しいです。
※一応完結分までは完了してますので都度載せる予定です。
よろしければ見てください。
AIアシスト作品です。
僕はまだ、ただの学生だったはずなのに。
気づいたら、伯爵家と組織と、大人たちの胃を一手に引き受けていた。
これは「有能すぎたせいで詰んだ男」の話。




