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第八部 第九話 悠馬、見えてしまったもの

賢いお兄ちゃんは何でもお見通しさ!

ノアは、何も言わなかった。

それが、答えだった。


会議の後、彼はいつもより静かだった。


報告は簡潔。

必要なことだけ。

雑談もない。


ーーーああ。


これは、”現場で何か言われたな。”


確信に近い感覚。


『ノアは、分かりやすい。』


隠そうとすると、逆に分かる。


「……」


書類を閉じる。


『彼が言わないなら、こちらから聞くべきか。』


そう考えて、やめた。


聞かれたくない時の沈黙も、尊重すべきだ。

だから、代わりに“見る”。


数字。

動線。

判断速度。


そして、現場から上がってくる微妙な修正案。

以前なら、ノアが拾っていた声。


今は、遠回りしてこちらに届いている。


「……なるほど」


視点を一段、引き上げる。


ーーー言われたな。


”「ノアだけでは足りない」”


そう、はっきりと。


誰かが、ノアを責めたわけじゃない。

むしろ、評価した上での正直な不安。


だからこそ、ノアは言えない。

言えば、自分が否定される形になる。

言えば、僕を引き戻すことになる。


それを、彼は選ばなかった。


「……」


胸の奥が、少しだけ痛んだ。

それは、怒りじゃない。


”悔しさでもない。”


理解だ。


ノアは、前に立っている。


だから、“足りない”という言葉を正面から受け取った。

僕は、後ろにいる。

だから、その言葉を間接的に知る。


同じ現実を、違う位置で受け取っている。


「……そうか」


小さく、呟く。


”これが、切り分けられる、ということか。”


ノアは、“現場の顔”になった。

だから、不安も、期待も、全部向けられる。


僕は、“全体の影”になった。

だから、直接言われない。


でもーーー**消えたわけじゃない。**


評価は、比較として生き続ける。


ノアが、失敗しない限り。

ノアが、完璧になるまで。


「……」


椅子に深く座り直す。


分かっていた、はずだった。

役割を分けるとは、そういうことだ。


でも、実際に起きてみると、、、


 『重い。』


ノアに、言うべきか。

いや、、、今は言わない。


彼は、悩んでいる。


『自分の言葉が、どう使われるか。


自分が、どこに立っているのか。


そこに、僕が口を出せば、また配置が歪む。


「……」


窓の外を見る。


ロンドンの空は、相変わらず 曇っている。


でも、少しだけ見えた。


”ノアが、“前に立つ人間”として扱われ始めたこと。”


そして。


『僕が、“比較される側”から“比較の基準”に

 なっていること。』


どちらも、望んだ形じゃない。


だけどーーー

避けられない。


ノアが、何も言わない理由も分かる。

僕が、今、何も言わない理由も。


「……」


答えは、まだ出ない。


でも、一つだけはっきりした。


”これは、誰かの失敗じゃない。”


立つ場所が変わっただけだ。

その重さを、どう分け合うか。


それが、”次の問題”だ。



感想をいただけると嬉しいです。

※一応完結分までは完了してますので都度載せる予定です。

よろしければ見てください。


AIアシスト作品です。


僕はまだ、ただの学生だったはずなのに。

気づいたら、伯爵家と組織と、大人たちの胃を一手に引き受けていた。

これは「有能すぎたせいで詰んだ男」の話。

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